かれこれもう20年以上前のことになりますが、実は私ブラジルに1年間留学をしていました。
いわゆる交換留学というやつで、ホームステイをさせてもらいながら現地の学校に通っていました。
ブラジルといえば、サッカー?サンバ?コーヒー?アマゾン?当時は今のようにSNSとかもなかったので、地球の裏側の国の様子を知る術はさほど多くなかったように思います。
当時の私は、ぼやっとしたサンバのイメージしかない状態で地球の裏側まで単身乗り込んでいきました。
が、ブラジル。なんと刺激的な国なのか。
私はすっかりブラジルが好きになってしまって、最後の1ヵ月は「日本へ帰りたくない」ばっかり言っていたのを覚えています。
1年いましたのでお話しできることは山ほどあるのですが、ここはナスペックのブログですのでブラジルの音楽の話にしようと思います。
とはいえ住んでたのは20年以上も前のお話なので、ふわっと温かい目でご覧ください。
ブラジルってご存じの通りとても広いので、地域によっても文化が全然違います。
だからその土地々々で色んな音楽のジャンルがあります。
ジャンル紹介をしつつ、そのジャンルのメジャーな曲と最新のヒット曲をご紹介していこうと思います!
※ざっくりです。詳しい説明はWikiとか見てください。
◆Samba
まずはやっぱりサンバ。
日本にもサンバチームがたくさんありますし、テレビとかで使われていたりすることも多いので、どこかで見たこと聴いたことある人は断然多いと思います。
アフリカからの影響を受けた音楽で、19世紀末から20世紀初頭にリオデジャネイロで発展しました。
サンバと言えばカーニバルですが、私のぼやっとしたサンバのイメージではカーニバルはリオだけでやっているものだと思っていました。
でも本当はブラジル全土で行われていて、地域によって特徴のあるパレードが見られます。
ちなみにカーニバル期間中はブラジル全土がお休みになりますので、私は友達やホストファミリーと別荘でバカンスしながらテレビでリオのカーニバルを見ました。
この曲は日本でもとってもメジャーですね。
The Brasilというような1曲
伝統的なサンバのスタイル
最新のサンバはこんな感じ。かっこいいです。
◆Pagode(パゴージ)
これはサンバの一種です。
サンバをもっと小さな規模で気軽に楽しむという感じでしょうか。
ブラジルでは週末になるとすぐに誰かの家でChurrasco(シュハスコ※BBQ)が始まって人が集まってくるんですが、誰ともなく食器やスプーンとかを楽器にしてセッションが始まります。(これがかっこいいんです。)
そんなイメージです。ざっくりですみません。
サンバは社会的、政治的なこととか歌ってたりするんですが、Pagodeはもっとライトな感じで恋愛のこととか失恋についてとか歌ってる曲が多いです。
Cavaquinho(小さいギター)、Pandeiro(タンバリン)、Surdo(大きめの太鼓)、Tantã(小さめの太鼓)などなど、色々な楽器で演奏されてとっても楽しいです。
パゴージの大御所の曲をどうぞ。
最新のPagodeはこちら。
◆Bossa Nova(ボサノヴァ)
ボサノヴァが日本では一番耳にするブラジル音楽なのではないでしょうか?
サンバがジャズの影響を受けてできていった、静かでおしゃれ感漂う音楽です。
カフェとかでもよく流れていますよね。
原題はポルトガル語でもそのままです
ブラジルにいた頃、時を経て大ヒットドラマの主題歌になってました
実はブラジルではボサノヴァってちょっと古い音楽と思われているようで、当時の若者たちはあまり聞いていなかったと思います。
最近の楽曲はこちら。声が素敵。
◆Axé(アシェー)
ブラジルの北東部、バイーア州のSalvadorというところで生まれた音楽スタイルで、サンバやレゲエやファンクなどが混ざってできたようです。
リオのカーニバルはサンバですが、バイーアのサンバはAxéが中心です。
Salvadorから全土に広まっていったようなのですが、私のいた2000年頃はヒットしていたのはAxéの曲がとても多かったです。
ダンスミュージックとして広まったため、みんなで踊れるというのがヒットの理由かもしれません。
当時流行ってた曲をご紹介します。私これ、多分どっちもまだ踊れます。笑
最新のAxéはこちら。やっぱり踊りたくなる曲ですね。
50歳を超えてなお、第一線で大活躍中です
◆Forró(フォホー)
こちらも北東部発祥の音楽。アコーディオン、トライアングル、ザブンバ(打楽器)などの楽器が使われているのが特徴ですが、今はバンドスタイルでのアーティストも多くて若者にも人気です。
ノスタルジックな感じの曲が多いですがやっぱりダンサブルで、地域によって踊りも違うようです。
男女でペアになって踊るイメージが強いです。
このLuiz Gonzaga(ルイズ・ゴンザガ)という方が特に有名です。
しっかりアコーディオン、トライアングル、ザブンバが使われてます。
最近だと、こんな感じです。
◆Funk(ファンキ)
Funkと言ってますが、HipHopの影響を受けて生まれたジャンルで、いわゆるファンクとは別物です。ですので「Funk Carioca(ファンキ・カリオカ)」とも呼ばれます。
Cariocaというのは「リオデジャネイロの人」という意味で(ちなみに私はSantista※サントスの人でした)、その名のとおりRioのFavela(ファヴェーラ※スラム街)で生まれたジャンルです。
スラム街で生まれたというので想像できると思いますが、あまりお上品な歌詞ではなかったりします。向こうにいた当時流行ってたFunkの曲を聴いていたら、ホームステイ先の妹(品行方正)に「こんなの好きなの!?信じられない!」と白い眼を向けられた記憶があります。
逆に兄とその友達とは仲良くなるきっかけになりました。笑
最近はこんな感じのようです。なんだか洗練されている・・。
◆MPB(エミ・ペー・ベー)
MPBはMúsica Popular Brasileiraの略でブラジルのポピュラー音楽という意味なんですが、ポップスとはちょっと違います。1960年代のブラジルでサンバやボサノヴァにジャズやロックを取り入れて生まれたジャンルで、音楽を通じて社会や文化を表現するスタイルなのです。
歌詞は恋や人生のことを詩的に描く一方で政治や社会問題に触れることもあって、当時のブラジル社会のリアルな状況を反映していました。有名どころはカエターノ・ヴェローゾやジルベルト・ジル、エリス・レジーナなどで、ご存じの方も多いかと思います。
ここでは私の思い入れのある2曲をご紹介します。
小説の朗読が入っていて、文学的でもあります
最近のMPBはこんな感じです。ポップスとの境があまりなく、聴きやすい曲になってます。
他もいい曲ばかりです!
すっかり長くなってしまいました。
まだまだ色々なジャンルはあるのですが、今回はここまでにしておきます。
今回は簡単にジャンルの紹介をしただけなんですが、これを歴史的な背景とともにどうジャンル同士が繋がっているかとかを調べ始めると完全に沼に入っていきます。でもすごく楽しいです。
ブラジルにいた1年間はとにかく色んなジャンルの音楽に日々囲まれていました。
毎日が刺激的で、20年以上経った今でも色々なことを鮮明に思い出すことができます。
音に関わる仕事をさせていただいていることで、こうやって当時のブラジルの懐かしい曲や今の曲を紹介できる機会があって嬉しく思います!
また続きをいつか書けたらいいなと思います。結構大変なのでちょっとの間はいいかな…。