今回は9.10合併号ということで、
このコラムのためにaLFFoで行われた音楽座談会の模様をお届けいたします。
参加者自己紹介
オノダ:会社員をしていますが、DJとしても活動しています。ブラジル音楽が好きなおじさんということでブラジルおじさんと呼ばれています。最近は「生活創庫」というイベントを主催しています。
イッセイ:ミュージシャンとして活動しており、映画音楽の制作も行っています。アメリカ・ハリウッドに7年滞在し、ヒップホップのプロデュースにも携わっていました。現地ではカニエ・ウェストやファレル・ウィリアムスなどのアーティストにCDを渡し、仕事に繋げようと試みたこともあります。現在は映画音楽やアンビエントを中心に制作しています。
ハルカ:会社員をしながらDJ活動や最近はChampaというバンドでベースを弾いてます。aLFFoでは毎月「BIGMUFF」というインディーロックを楽しむDJイベントを行なっています。
コータ:音楽の知識はあまりありませんが、大学のときはダンスをしていて、今は会社員として働いています。高校生の頃EXILEになろうとしてました。aLFFoではハルカさんと一緒に「BIGMUFF」でDJしてます。
ヤマオ:たまたまこの日aLFFoでバイトしてました。髪型はアフロで、大学生でDJしてます。
Motive:とんでもない音楽好きを、今日は俺とハルカちゃんで選んで、あの、来てもらったんすよ。コータ以外(笑)
一同:(笑)
コータ:はい(笑)
Motive:コータは明日やるけど来る?って言ったら、行きますって。ノコノコ現れて、歩いて(笑)
コータ:まぁ、そういう立場からもね、なんか、何かしら力になれればと。
ハルカ:確かに確かに。まぁ、いろんな視点から話せたらいいよね。
Motive:オノダさんは50、あ、いや、40、俺と一緒ぐらいっすよね。
オノダ:うん、(Motiveの)学年一個上で、48歳。
Motive:みんなの最初に買ったCDとかを俺は聞きたくて。音楽の入り方とか。
オノダ:ああ、なるほど。僕が最初に自分のお金を払って買ったCDは、たまの『さよなら人類』と、あと一緒に買ったのが覚えてるけど、THE BOOMと矢野顕子の『釣りに行こう』。それが中学校、確か2年生ぐらい。
ハルカ:お~、中2か。
Motive:本当すか?最初からセンスが良いっすね(笑)
ハルカ:確かに(笑)
オノダ:本当(笑) 釣りに行こうは、当時部活が陸上部で。そのとき骨折してて、接骨院に通っとった時に、なんか接骨院でラジオから流れてきてて、で、いい曲やなと思って。それで接骨院終わってからCD屋行って買った。
Motive:余裕っすね。痛くなかったんすか。骨。
オノダ:痛かった(笑)
Motive:その後は?
オノダ:最初は覚えてるんだけど、その後何だったっけな。
Motive:洋楽にハマる過程とか。
オノダ:えっと、洋楽にハマる過程。自分可児市っていう田舎に住んどったんですけど。高校生ぐらいにケーブルテレビが引かれて、気がついたら勝手にうちの家でスペースシャワーTVが見れるようになってて。
Motive:あ、一緒一緒。俺MTVでしたけど。
オノダ:うん。そうそうそう。で、なんかもう暇があればそれを見てたって感じ。
ハルカ:その時流れてたのって、どんなやつですか?
オノダ:その時が、印象残ってるのが、えっと、あの、ブラーの『Girls and Boys』。
Motive:あ、一緒一緒。ブリットポップの。ブリットポップ戦争の時すよね。
オノダ:そうそう。たまたま岐阜テレビかなんか観てたら、New Cinema 蜥蜴っていうグループが『Girls and Boys』をパクってたのがすごい印象的で。(※New Cinema 蜥蜴『CaNDY LiFe』 PVで『Girls and Boys』をオマージュしていると思われます)
Motive:ニューシネマトカゲ?へー。
オノダ:知らん?
ハルカ:知らないっす。
Motive:え、バンドですか?
オノダ:日本のJ-POPのバンドで。
ハルカ:へー。
オノダ:そう。えっとNew Cinema 蜥蜴はね、なんか、何だったっけな、ZARDとか、あの辺のレーベルのグループだったんすけど、確か。
ハルカ:え?ビーイングですか?
オノダ:ビーイングか、多分、なんかその辺の。(※旧ビーイング傘下のGIZA studioでした)ま、それは余談ですけど、えっと、だからその流れで洋楽のCDで初めて買ったのは、ブラーの『Parklife』。
Motive:なるほど。
ハルカ:じゃあ次Motiveさんいきますか。
Motive:俺は最初、小学校の時に光GENJI買った。
コータ:へー。
Motive:光GENJI、かっこいいなと思って。
Motive:ローラースケートとかも買って、バク転とかも練習したりとか。
ハルカ:よーうこそ♪のやつ(※『パラダイス銀河』)ですか?
Motive:そうそうそう。
ハルカ:(『パラダイス銀河』)を買ったんすか?
Motive:買った。そのあと、あの、色々あってキング・クリムゾンにハマって。
一同:いやいや(笑)
ヤマオ:めちゃ色々あって(笑)
ハルカ:紆余曲折が(笑)
イッセイ:ギュイーン!って曲がってますやん(笑)それはもう自分から変わろうとしてないっすか?
Motive:いや、光GENJIの次にいいと思ったのがキング・クリムゾン。
一同:(笑)
コータ:よーうこそ♪から?(笑)
ハルカ:しゃかりきコロンブス(笑)
Motive:そうそう。めちゃプログレっぽい歌詞じゃない?しゃかりきコロンブス。
ハルカ:しゃかりきコロンブスの着いた島がキング・クリムゾンやったんですね。
Motive:発見しちゃって
Motive:『夢で逢えたら』っていうさ。
オノダ:うん。
Motive:ダウンタウンとかの。ダウンタウンが大好きで、うん、その番組にユニコーンが出とったね。
イッセイ:ごっつの世代ですか?(※『ダウンタウンのごっつええ感じ』)
Motive:ごっつより前やね。東京出てきて、ダウンタウンが。
オノダ:そやね。あの、深夜番組だったもんね。
Motive:ね。そうそう。11時、『ねるとん紅鯨団』のあと。
オノダ:で、あの時代は、そこから人気出たらゴールデンいくみたいな。
Motive:そうそう。で、母親がヒッピーやったんですよ昔。神戸でヒッピーやってて。
ハルカ:時代(笑)
Motive:であの、ビートルズ。今思えば幼稚園の送り迎えの時に、スティービー・ワンダーとビートルズがずっとかかってたな。
イッセイ:サイケ感があるってことか。
Motive:うん、かな。『Part-time Lover』とか聴いとったけど。
聴かされて。80年代のスティービーと、ビートルズ。で、ユニコーン聴くようになってから、(母親に)ビートルズもっかい教えてよみたいな。で、『エド・サリヴァン・ショー』ってあるじゃん。あれNHKで、なんかやってて。
イッセイ:へー。
Motive:それでCCR(クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル)とビートルズ。やってたんですよね。で、CCR見て、めちゃくちゃかっこいいと思って。で、寝てる母親叩き起こして、これ誰?って聞いたら、「うーん、これ誰だっけな、クリネス、コーターリバイバルかな。クリネス・コーター・リバイバル。」つって。それを覚えてCD屋行ってもなくて。
ハルカ:そうですよね(笑)
Motive:で、いっぱい調べて、なんとかクリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァルっていうの買って。で、CCRとビートルズをむちゃむちゃ聞いてた。
オノダ:へー。
ハルカ:『Have You Ever Seen The Rain?』ですか。
Motive:『Down On The Corner』。だからアメリカ的なものとイギリス的なものを両方同時に知った感じ。
ハルカ:ああ。確かに。
Motive:はい。じゃあ次。
ハルカ:僕は、最初に買ったのは、自分のお金じゃないんですけど、デジモンアドベンチャーの主題歌の、『Butter-Fly』。
イッセイ:おお。
ハルカ:無限大な、夢の後の~♪ってやつ。それ買いました。あの、短冊CDで。
オノダ:お。まだハルカくんの時代は短冊があるんや。
ヤマオ:短冊CDてなんすか。
オノダ:8cmCD。
ヤマオ:8cm。
コータ:へー。
ハルカ:ジャケが長細い。こんなちっちゃいCDがあった。
ヤマオ:はいはいはい。
ハルカ:そうそう短冊CD。でまあ、兄ちゃんが6個上なんで、兄ちゃんも買ってたのは、SPEEDとかモーニング娘。とか。なんかいっぱいあったんですけど。
オノダ:はいはいはいはい。
ハルカ:だから、結構、短冊CD家にいっぱいありましたね。
ヤマオ:へー。
ハルカ:それが多分小1とかの話で、そのあと、自分のお小遣いで買ったのは、ガンダムシードの主題歌、が集まってるアルバムがあって、それが、だから、TMレボリューションとかが入ってて。
オノダ:ほうほうほうほう。
ハルカ:あと米米クラブの石井竜也のソロの曲(『RIVER』)が入ってて、それがめっちゃ好きやったんですけど。
Motive:『河童』の監督のね。
ハルカ:あ、そうなんすか。
Motive:そうそう。カールスモーキー石井。石井竜也。
コータ:へー。
ハルカ:そうそうそう。それを買ったんですけど、それがだから小6か中1ぐらいの話で。でも本当に音楽ハマったのは、BUMP OF CHICKENの影響が大きくて、そこからロックいいなってなって、それが小5ぐらいなんですけど。
オノダ:おー。
ハルカ:そっから、オリコンTOP10を全部聴くみたいなことをずっとやってて、小学生の時ずっと。
オノダ:ほう。
ハルカ:で、TSUTAYAが近所にあったんで、シングル借りに行って、MDに入れるみたいなのずっとやってて。そしたら、ELLEGARDENが『Space Sonic』っていう曲でオリコンに入ってきて。それが、日本人なのに英語で歌ってるっていう。で、そんなことしていいんや、みたいな感じがなんかあって。で、ELLEGARDENも家でずっと聴いてたんです。かっこいいな、つって。
オノダ:うんうんうん。
ハルカ:したら、兄ちゃんが、お前それ聴いてるんやったら、これ聴け、って言って、グリーン・デイの『American Idiot』を貸してくれて。
イッセイ:ほうほうほうほう。
ハルカ:で、そっから、あの、メロパンみたいなやつ、Sum 41とか、そういうのをバーって聴くようになって。そうしてるうちに、アークティック・モンキーズがデビューしたんですよ。
コータ:おー。
ハルカ:それで、これはなんか今までのとは全然違うって感じになって。めちゃめちゃかっこいいってなって。そっから、その、ストロークスとか、2000年代のロックンロールリバイバルみたいに言われてるやつをどんどん掘っていくようになって。
イッセイ:なるほど。
ハルカ:そうなんす。で、あの、ちょっとね、今日なんかそんな話するかなと思って持ってきたんですけど。これ僕が、その、高校生の時にずっと買ってた。雑誌なんですけど。『Hard To Explain』っていう雑誌で。
イッセイ:初めて見た。
Motive:初めて見たこんな雑誌。
ハルカ:これ最初はフリーペーパーで置いてあったんですよ、HMVとかタワーレコードに。途中から大判になって有料になったんですけど。これを毎回絶対買ってて。
Motive:外国の雑誌じゃないの?
ハルカ:いや、日本の雑誌なんですよ。
ヤマオ:へー。
ハルカ:海外のロックの、そう。特に2000年以降の、というかそのとき現行のロックを追ってた雑誌ですね。
ヤマオ:はいはいはいはい。
ハルカ:これがめちゃめちゃ僕の根幹をなしてます。
ヤマオ:確かに。映画も載ってるんですね。
ハルカ:そうそう。映画もあって、まあその時のバンドを、結構アイドル的に扱ってるっていうか。かっこいいんですよね。その時ストロークスがほんまに大好きで、真似してコンバースのスニーカー買ったりとか、スキニーとか買ったりとか。で、やっぱここに映画とかも載ってるから、それで海外のセレブ文化とか、そういうのも込みで全体に興味が湧いて。
オノダ:うん。へー。
イッセイ:面白い。
Motive:なんか海外の雑誌の翻訳みたいな。
ハルカ:あ、いや、ではないです。完全に日本。の雑誌ですね。
オノダ:へー。
ハルカ:そうそう。この雑誌を久々に思い出して。持ってくる時に、これ、家にめっちゃめちゃあるんで、その中から何冊か持ってきたんすけど。今見たら、なんか、あ、こいつら消えたなとかね。
ヤマオ:あー。
Motive:うん。
ハルカ:こん時はめちゃめちゃこのバンドに夢中になってたな、みたいな。
イッセイ:ジャスティン・ヴァーノン(Bon Iver)、ジェイムス・ブレイク、タイラー(Tyler, The Creator)の初期も載ってる。色々網羅しとるね。
ハルカ:うん。
オノダ:へー。知らなかった。これ、でもいつぐらいまであった雑誌なんやろ。
ハルカ:2010年代の、12年、13年ぐらいまであったんじゃないかなと思うんですけどね。
オノダ:ふーん。
Motive:このアソビ・セクスっていうバンドは人気あったの?(笑)
ハルカ:あぁAsobi Seksuですね。人気ありましたよ、この時。
Motive:へぇー。
ハルカ:キツネのコンピ(『Kitsuné Maison Compilation』)とか、そういうのとかもこれで知って。
Motive:なるほどなるほど。確かに。流行っとったねああいうの。
ハルカ:そうなんすよ。
ヤマオ:これがもう根幹。
ハルカ:めちゃめちゃ根幹。
イッセイ:めっちゃそうやね。
ハルカ:これを買うためにCD屋さんにも通ってたんで。だから京都の四条の蛸薬師ってとこにあったHMVに毎週行ってて、そこで出てるやつを全部視聴するっていうのを高校生の時ずっとやってて。その時に、お小遣いで洋楽で初めて買ったのが、あの、ライドのファースト(『Nowhere』)。
オノダ:ほう。
Motive:ピストルのやつ?
ハルカ:あの、波のやつです。
コータ:あー。
ハルカ:そうそう。それはもちろん現行じゃないけどたまたまそのとき見つけて。
イッセイ:めちゃくちゃルーツを感じる。
ハルカ:そう。そんな感じでした。
ハルカ:じゃあイッセイくん。
イッセイ:何やろ。
イッセイ:でも、俺は、ハルカさんの、ちょっと3、4個下の世代ってなると、マジでもうインターネットで落とせる。
ハルカ:うんうん。
イッセイ:レンタルの時代やったから、あんま買うっていう行為をしてなくて。
オノダ:ほう。
イッセイ:で、俺もう中学校、中3までは、本当にクラシックしか聞いてなかった。
ハルカ:あ、そうなんや。
イッセイ:もう車で、親が持ってるクラシックの作品集、ベートーベンとかショパンとかをひたすら聴く。
ハルカ:うん。
イッセイ:みたいなやっとって。けど、その中で、唯一テレビで見た、Mステで見て、これ欲しいって言って買ってってもらったやつは、『青春アミーゴ』やった。
Motive:うわ…ダサ(笑)
一同:(笑)
イッセイ:嘘つこうか迷ったけど(笑) 実際最初に買ってもらったのは『青春アミーゴ』。買ってもらって、なんか、どっかでクラシックをやっとることが、ちょっと根暗なイメージを自分で感じてて。そこで華々しいジャニーズの。
Motive:うん。
イッセイ:でも、あれでしょ。(Motiveさんも最初は)光GENJIでしょ。
Motive:うん。あ、でもちょっと違う。一緒にされたくはない(笑)
一同:(笑)
イッセイ:いや、なんか子供の頃の、華々しい、明るいもの、も聴いてみたいって思って。で、高校になって、お小遣いもらうようになって、自分で買えるってなった時に、高校で、なんかその青春アミーゴを俺も買ったって言って意気投合した友達が、これ聴いてみって言って、『深海』を渡してきた。
ハルカ:あーミスチルのね。
イッセイ:で、それを友達から借りて、聴いた時に、これはヤバいなって。
Motive:深海アミーゴや。
イッセイ:そう(笑) 今思えば、クラシックのソナタって第1、第2、第3楽章ってシームレスに繋がっとって、これをポップソングでもできるんやって思ったのが『深海』やって。
ハルカ:なるほど。
イッセイ:うわ、すげえってなったのと、ほぼ同時に、姉ちゃんがカナダに留学しとったのが帰ってきて、持ってきた音楽がファボラスとリル・ウェインのファーストやって。それもクラシック嫌になっとった時期で中学ぐらいで。その時に全く正反対の音楽と出会ったから、この『深海』とリル・ウェインがかっこよすぎるってなって。初めて自分のお小遣いで、同時に買ったのが『深海』とリル・ウェインのセカンド、『The Carter Ⅱ』。
ハルカ:おお。
イッセイ:そっからブラックの感じと、そのポップな感じ、メインストリームの感じをなんかバランス取りながら、色々見ていくっていう作業になった感じかな。で、なんかやっぱ人気なのも好きやから、それこそビルボードワンハンドレッド、ビルボードチャートを100位から1位まで全部聴くみたいなのをずっとやっとって。で、そん中で出会ったのが、なんかブルーノ・マーズだとか、世代的な。
ハルカ:それテレ東とかでやってた番組?
イッセイ:じゃなくて、俺はもうYouTubeで調べて、誰かが編集したやつを100から1までを、1個ずつもう1回検索し直して、全部なんかこんくらいのちっちゃいウォークマンに入れて、やるっていうなんか。ライム…ライム…なんやっけ?
ハルカ:LimeWire?
イッセイ:そうそう、LimeWireで全部落として。
ハルカ:LimeWireね。
ヤマオ:じゃあ、もうメディアはそん頃、CDじゃなかった?
Motive:(ハルカより下の)この世代は。
ハルカ:いや。初めは、TSUTAYAで借りてって感じでしたけど、確かに小6か中1ぐらいから、もう今あれですけど、ファイル交換ソフトが出てきて。
イッセイ:うん。
ハルカ:LimeWire、なんか、Winnyとかも。
Motive:あれって違法?
ハルカ:違法です。
Motive:ああ。
イッセイ:だから、あの『ソーシャルネットワーク』のジャスティン・ティンバーレイクがやってた。あれみたいなのを多用しまくって。
ハルカ:そうそうそうそうそう。
イッセイ:ポップソングを落としまくったりしとった。
ハルカ:そう。これはね、海外のアメリカ人の音楽好きとかに話聞いても、やっぱ同世代だったらみんな大体LimeWireで音楽聴いてて。
イッセイ:うん文化。
ハルカ:そうそうそうそう。Groovesharkとかね。
イッセイ:そう。あと俺は、ヒップホップでリル・ウェインにハマったから、DatPiff。
ハルカ:DatPiffね。
Motive:ふーん。オノダさん知ってます?
オノダ:知らない。
ハルカ:DatPiffっていうのは、ヒップホップのミックステープっていう文化があるんすけど、それを無料でネットに出せる。
オノダ:ほう。
ハルカ:サイトで。
イッセイ:アーティストがあえて無料で出す。
オノダ:へー。
ヤマオ:サウンドクラウドみたいな?
イッセイ:そう、そん時のまぁサンクラに近い。
ヤマオ:おお。
ハルカ:けど。ダウンロードできるんよね。
イッセイ:そうそう。それを合法で落とせる。アーティストが無料で出してる。
ハルカ:そうそう。
イッセイ:それを片っ端からやって、今有名なケンドリック・ラマーだとかが無料で出してた時代が高校時代。
コータ:へー。
ハルカ:そう。そん時は、DatPiffには無料でミックステープを出して、ちゃんとしたアルバムは別で出す。
イッセイ:スタジオアルバムはね。
ハルカ:そうそう。みたいな人が多かったんですけど。チャンス・ザ・ラッパーが、DatPiffでスタジオアルバムを出してて。だから、チャンス・ザ・ラッパーは、ずっと無料でアルバム出し続けてて、それでそのままグラミーまでいったっていう。
イッセイ:そう。
ハルカ:それがチャンス・ザ・ラッパーのすごいとこやったんですよね、当時。
イッセイ:そうそうそうそうそう。
イッセイ:A$AP Rockyとかもミックステープで出てきた。多分今有名なメインストリームのラッパーたちは全員DatPiffを通ってる。
ハルカ:そうそう。
イッセイ:そうそう。ウィズ・カリファとかも。
ハルカ:Joey Bada$$とかもね。
イッセイ:そう。だからもう、そういうので落としてっていう風やったから、ほんとそれこそCDを買うっていう感じではなかった。
ヤマオ:境目ぐらいですねCDの。
イッセイ:インターネット時代もちゃんと始まった後っていう。
ハルカ:で、サブスクはまだないっていう時代で。
イッセイ:うん。だからネットで落とすかTSUTAYAかっていう。
ハルカ:当時ロックの場合だと、LimeWireで落としたときに、なんかデモ音源が落とせる場合があって。だからそのあとちゃんとアルバム買うとなんか音ちゃうやん、みたいな感じになって。デモの方が好きやったな、みたいなことがよくあった。
イッセイ:俺あと今思い出したのが、その時YouTubeから落とすっていう。
ハルカ:YouTube Fireか。
イッセイ:そう。そう、それで落とすっていうのやっとって。でもその時の世代のミュージックビデオから落とすしかなくて。今みたいにオーディオだけでYoutubeに出してなかったから。
Motive:それは、違法?
イッセイ:違法。
ハルカ:違法。
Motive:使える話してくれよ(笑)載せていいんならいいけど(笑)
一同:(笑)
イッセイ:まあ別にいいけど(笑)
Motive:一気に増えたよ犯罪者が(笑)
一同:(笑)
イッセイ:でも、もう多分みんなやっとるよね。
ハルカ:うんまあ当時はね。
イッセイ:でも、ミュージックビデオを落とすってなると、変な、カークラッシュの音とかも入ってくる。
ヤマオ:あーなるほど。
イッセイ:で、俺は多分、その時にそれを聴いてたのがあって、映画音楽に入ったと。
Motive:うん。
イッセイ:それがすごい通じとる。
ヤマオ:なるほど。
Motive:なるほどね。効果音も。
イッセイ:効果音も、その、もう1個のものとして聞いちゃってた。
ハルカ:あー確かに確かに。PVの中に入ってる音が。
イッセイ:そう。なんか変な会話とかも一緒に。
ハルカ:確かに確かに。あったあった。
イッセイ:だから、その、ヒップホップってスキットとかがあるのが、すごい自然やったっていう。
ハルカ:うんうんなるほどね。
イッセイ:かな。
イッセイ:ま、そんな感じです。
Motive:順番で言うと次コータかな。
コータ:まぁでもイッセイさんと一緒でレンタルが主流やって。MDに焼くっていうのを親がやってて。
イッセイ:ギリMD世代だよね。ギリかぶってた。
コータ:だからCD買ったのはちょっと後になっちゃうんですけど。最初に自分でレンタルしたいってなったのが、めっちゃくちゃアニメ好きだったんでドラゴンボール。
イッセイ:へっちゃら♪ってこと?
コータ:いや、あの、一番最初のドラゴンボール。
ハルカ:つかもうぜ♪の?
コータ:つかもうぜのアルバム。
Motive:アルバムあるんや。
コータ:あります。
Motive:つかもうぜの。
コータ:アルバムっていうか、その初期のロマンティックあげるよとかも入ってるやつ。
ヤマオ:へー。
Motive:つかんだ後エンディングでくれるっていう。
ヤマオ:(笑)
Motive:優しいね。ギブアンドテイク。つかんだあとあげるってことでしょ?
一同:(笑)
コータ:ナルトとかも好きだったんで。で、アジカン(ASIAN KUNG-FU GENERATION)とか。
ハルカ:ああ。
コータ:ま、そこら辺とか、小学校、低学年ぐらいでそれを焼き出して。
Motive:それは違法じゃないの?
ハルカ:これも違法っすよね。
Motive:違法。
イッセイ:CDの焼きましやから。
ハルカ:コピーコントロールCDもあったしね。
イッセイ:あった。けどそれを抜ける技もあったしね。
コータ:じゃあ使えないっすね、この話は(笑)
Motive:まぁでもいいよね別に。
イッセイ:いや、でもみんなやってる。それが、そういう文化やったから。
コータ:みんなやってると思います。
Motive:うん。
イッセイ:それがあったからストリーミングがあるわけで。
コータ:そうっすね。
コータ:で、小5ぐらいで、あの、初めて自分のお金で買ったのが、AKB48なんすよね。
ハルカ:ああーそうなるか。
イッセイ:うわ(笑)
Motive:これは違法じゃないの?
コータ:何で?
一同:(笑)
ハルカ:倫理的に?(笑)
一同:(笑)
コータ:お年玉で買いに行って。それもMDに焼きましたけど。
イッセイ:神曲?
コータ:これは、あのね、サーカス、サーカスのアルバム。『ポニーテールとシュシュ』より前なんすけど。
ハルカ:前か。
コータ:あ、ベストかな。
ハルカ:『言い訳Maybe』とか?
コータ:ありますありますあります。
コータ:『週刊AKB』とか見てましたしね。
イッセイ:あ、見とった俺も。
Motive:へー。誰が好きだったの?
コータ:大島優子ですね。
ハルカ:あー、そうなんや。
コータ:で、親はマイケル・ジャクソン大好きなんすよ。
ハルカ:ああ。
コータ:で、Queenも大好きで、ビートルズも。で、マイケル・ジャクソンの『This Is It』のDVDを親が買ってきて、それ一緒に見させられて。それで、ダンスっていうのをちゃんと見たっていうか。
オノダ:おー。
コータ:てのがあったんすけど。そっから、なんかおじさんとかおばさんとか親もEXILE好きだったんすけど、初期のEXILEとかを、すごい家で流し出して。EXILEどんなんやろってライブ映像とか見たら、それで、本格的にダンスやりたいっていう感じになってきて。ダンスていうか、EXILEになりたいっていう風になったんすよね。
ハルカ:(笑)
イッセイ:LDHに入りたい。
コータ:それがあって、高校でEXILEのオーディション受けたりして。
Motive:へー。
コータ:うん。で、まぁちょっとね、そこから色々あってこのaLFFoに来るようになるんですけど。だから、今思ったら、その時の僕からしたら、こんな話したり、こんな感じでなんかね、DJとかやってるっていうのが全く、絶対ありえんっていう感じで。
ハルカ:ここにいること自体がね。
コータ:そうそうそうそう。で、大学でダンス本格的にやり始めて。そっから、なんかご縁があってこのお店に来るようになって。初めてのイベントで、みんなのDJ聞いた時に。Queenの『Bohemian Rhapsody』とかで、なんかみんなでめっちゃわーって盛り上がって。それが結構衝撃的な体験で。6年前ぐらいの話なんですけど。そこで衝撃を受けて、こんなことがあるんや!っていう。本当にやばい!ってなって。めっちゃ、いろんな音楽を聴きたい!ってなって。今は特にロック聴いてますけど。
イッセイ:ロックにハマったきっかけは?ハルカさんの影響?
コータ:ま、そうっすね。どうなんやろ。
ハルカ:Motiveさんがデカい。
コータ:そう、Motiveさんもデカい。Motiveさんが最初デカい。だからそれもQueen。
イッセイ:MotiveさんのDJの色んな曲の中から、一番デカいのがQueen(笑)
Motive:誕生日一緒なんだよね。フレディ・マーキュリーと。
コータ:あ、そうなんすか(笑)
Motive:こういう聴き方もあるんだってことだよね。
コータ:そうそうそうそうそう。それが衝撃的で。DJやりたいなってなって、やりだしてっていうことにいたってますね、今。勉強中なんですけど、ずっとね。
Motive:ついでにヤマオも。
ヤマオ:ついでにじゃあ、そうっすね、元々これ、初めて買ったCDの話しすよね?
Motive:あ、そうそう。
ヤマオ:それで言ったらもう結構世代が違うというか、CDを買うっていう文化がまず。
イッセイ:え、もうストリームが始まっとった?
ヤマオ:ストリーミング、高1ぐらい。
Motive:高1。
ヤマオ:中学校ぐらいの時には多分あったんすよね、もう。
ハルカ:2016年ぐらいじゃなかったっけ?日本で始まったの。
ヤマオ:そうっすね。高1とか、中学校。
イッセイ:今いくつなの?
ヤマオ:次24です。
コータ:でもまだMDとかあったんじゃね?
ヤマオ:いや、ないっすね。ないというか、多分、大体(同世代は)知らないと思うすよ。
イッセイ:だから短冊CDも知らないし
ヤマオ:も知らないし。
ハルカ:フロッピーも知らないし。
イッセイ:フロッピーはMDより前やろ(笑)
ヤマオ:だからもう、音楽を買うものとして捉えてない。みんなとりあえずサブスク入って。
ハルカ:サブスクはもう入ってたの?高校生の時?
ヤマオ:高校生の時に入ってましたね。
Motive:えー。
ハルカ:高校生の時ってみんなサブスク入ってた?
ヤマオ:あ、でも皆ではないですね。
ハルカ:音楽好きな子は入ってた?
ヤマオ:音楽好きな子は聴いてるみたいな。
ハルカ:それってやっぱ、親に頼む?
ヤマオ:あ、でもそうっすね。親に、まあ俺も勝手に買ってましたけど。だから違法行為はなくなったっすね。
ハルカ:まあそういう意味ではね。
ヤマオ:焼くとかね。だから初めて買ったCDってのは3年前とかに、DJなってからみたいな。
ハルカ:DJなってからCDを。
ヤマオ:そう。
オノダ:ほー。
ヤマオ:むしろレコード、僕らの世代だと多分、初めてフィジカルで買った音楽って、レコードの方がむしろ、多いかもしれないというか。
ハルカ:可能性あるね。で、サブスク入って最初は何聴こうと思ったん?
ヤマオ:それはもう最初は親が聞いてた、車とかでかけてたガンズとか。
Motive:あー、そっか。Guns N’Roses。
ヤマオ:ハードロック。現行のロックを追うとかじゃなかったというか。サブスク入った時点で、もう過去の全部聴けちゃうわけだから。
ハルカ:確かに。
ヤマオ:関連するアーティストとかも出てくる。
Motive:それってオノダさんどう思います?めちゃくちゃありがたいことなのか。
オノダ:どうなんやろね。自分はどっちかっていうと、あの、リアルタイムで音楽を追ってくタイプだったから。逆に、なんか、あの、元ネタを知らんっていうか。
ヤマオ:あぁー。
オノダ:っていう聴き方だったんだよね。だから今48歳で、当時だからもう30年ぐらい前、30年以上前か。自分の時は思いっきり90年代だったから。90年代が自分の目の前にあったものなんで、これが一番新しいもので、それが一番かっこいいもんやと思っとったら、まぁ、上の先輩方からは「あんなもん偽もんや。」つって。
ヤマオ:ああ。
オノダ:っていう感じで。だけど、そこから別にその、何でも聴ける時代では当然なかったから、自分が好きなもんだけしか聴いてなかったもんで、こう掘り下げて聴くとか、歴史を知るっていうのは、当時からあんまりなくて。大人になってから、むしろそういう。
ハルカ:ああ。
オノダ:そうそうそうそう。っていう感じだったから、正直ビートルズもまともに聴いてなかったし。洋楽もそれこそブラーから入ってるぐらいだから。ルーツとかも全然分かってなかったから自分は。自分はね。うん。ていう意味では、なんだろう。その聴ける環境云々というより、やっぱりみんなの話聞いてると親からの影響とかっていう感じがあるけど、自分はそういうのがなかったから。だから誰の影響で聴いてたかっていうところで、結局「聴き方」は手段でしかないので。
Motive:(部活で)骨折ったから聴いたわけですもんね。
オノダ:そうそうそうそうそう。
ヤマオ:じゃあ入り方は今もあんまり変わってないっていうか。
オノダ:うん、そんな気がするかな。
Motive:ブラジル音楽に(興味が)行ったのは?
イッセイ:それすっごい気になる!
オノダ:ブラジル音楽聴き出したのは、自分はHMVっていうところで、一応22歳から25歳になるぐらいのところまで働いてて。ちょうど僕がHMVに入った22歳の時は、入店して最初のレジに立った日が宇多田ヒカルのファーストアルバムが発売された日で。
Motive:えー。
イッセイ:うわ~めっちゃ時代を感じる。
オノダ:CDが一番売れた時代。っていうか、一番売れた日。もう宇多田ヒカルしか売ってなかった。
Motive:へぇー。炊き出しやん、もう。
オノダ:そうそう(笑)本当そんなレベル。生でボーンと来て、あの防犯タグ付けるまでもなく。どんどんどんどんひたすら売ってるみたいな。でもそこを境にCDが売れんくなってきて。なんかダウンロードっていう言葉も出だして。VHSもDVDに切り替わってて。なんかこう、売れていかない様を目の前にして。音楽は好きだけど、これは食ってくのは難しいと。まぁなんとなく音楽の仕事に携わってみたかったから始めたんだけど。自分は作る方とかそういうのはなかったんで。ただいろんな音楽聴けていい環境だったけど、まぁこれは辞めるっていう選択をした時に、ここから先、これまでほどはいろんな音楽聴けなくなるから、まぁ当時はサブスクが来るとか思ってないからね。
ヤマオ:ああ。
オノダ:だから自分の音楽のお金の使い方はどうしたもんかなという風に考えた時に、今の奥さんが「ジャンルを絞れ」って。
ヤマオ:ああ。
オノダ:っていう話になって。で、ブラジルが、まぁ肌に合ったんですけど。で、ブラジルって言っても当時、(Motiveは)世代一緒だからわかると思うけど、あの2000年、90年代から2000年代は、ボサノバブームじゃないけど、カフェブームか。
Motive:うんうん。
オノダ:カフェブームっていうのがあって。で、そのカフェで聴けるおしゃれな音楽っていうのでその『Café Après-midi』。SUBURBIA。あの時代でブラジルの音楽が結構日本に輸入されてた時期だったんだけど。あんまりそのボサノバとかには正直興味がなくて。
イッセイ:へぇー。
オノダ:ではあったんだけど。自分がそれまでじゃあ何聴いてたかって言ったら、さっきの話の流れであのBOOMからブラーに一気に飛んじゃったけど、一応そのスペースシャワーに入り出した時に、渋谷系の音楽が好きで。で、コーネリアスとか知って。
Motive:そこですよね。そこデカいですよね。
オノダ:で、フィッシュマンズ知ったりとかね。その流れで自分が今も好きなGREAT3も知って。
ハルカ:ああ。
オノダ:自分もさっきのハルカ君が見せてくれた雑誌じゃないけど、GREAT3の片寄氏が色々紹介してるものを読んでて。いろんなとこであの人レビュー書いてたから。それを見つけては、探しての繰り返しをしてる中で、自分はシカゴ音響派を聴くようになったのね。
ハルカ:ああ、なるほどなるほど。
オノダ:それがだから大学ちょうど4年生、(Tortoiseの)『TNT』が出た時だから。
Motive:うんうん。
オノダ:そうそう。で、シカゴ音響派が好きでずっと聴いとって。で、何で手にしたのかはちょっとあやふやなんだけど、そのGREAT3の片寄氏が、えっと、僕が24ぐらいの時だから24年前か。の時に、あのマルコス・ヴァーリのアルバムが当時日本で全然CD化されてなかったんだけど。片寄明人が自分のレーベルをやるってなった時に、マルコス・ヴァーリのアルバムを全部CD化するっていう企画をやって。で、その時の1枚が、あの『Previsão do Tempo』っていうあの水の中をドボンってなってるジャケットのやつ。すごいひどいジャケットなんだけど。あ、ちょっとこれはやめとこうかなって思ったジャケットだったんだけど。まぁ、うちの奥さんが、「いやあんたこれでしょ。」って言われて(笑)
ヤマオ:へぇー(笑)
イッセイ:めちゃ操られてますね(笑)
ハルカ:奥さんもCDショップで働いてたんですよね。
オノダ:そうそうそうそう。で、それを聴いた時に、あの、片寄のライナーに、なんかそのアルバムはシカゴ音響派のバイブルになってるっていうのがあって。で、そこの中に、バイブルになってるのは2枚あるって、それがマルコス・ヴァーリのそのアルバムと、もう1枚がシュギー・オーティスの『Inspiration Information』。それで自分の好きな音楽とブラジルはそこで繋がったんで。
ハルカ:ああ。
オノダ:あ、面白いなって思って。そっからもうじゃあこれでいこうって思って、ブラジルばっかり聴き出したっていう。だから、その2000年代が僕バコンと抜けてるんすよね。その当時のポップミュージックとか。
ハルカ:あぁーそうなんですよね。それがちょっと悲しいところなんですよ僕は(笑)
オノダ:(笑)
ハルカ:年上の音楽好きの先輩方でもだいたい2000年代の音楽は聴いてないというか。聴いてないし、まぁ良くもないみたいな。
オノダ:良くないとまでは全然思ってないんだけど。
イッセイ:いや、でも2000年代って、目に付くメインストリームの音楽が、やっぱEDM流行り始めたとか。
ハルカ:それは2010年代やね。
イッセイ:でもさ、あの、なんだ?アヴリル・ラヴィーンとかさ。
ハルカ:あ、そうそうそう。
イッセイ:バックストリートボーイズとか。確かに音響的に聞いたら、別に注目される時代ではなかった感はある。
ハルカ:それはそうなんすよ。
オノダ:でも、ストロークスのファーストって、そのぐらいやね。
ハルカ:2001年ですね。
オノダ:そうやね。ブラジル聴き出した反面なんかストロークスのジャケットがいつもすごい気になってて(笑)
ヤマオ:ああ。まあでもジャンル絞れって言われたし。
オノダ:絞れって言われたけど(笑)あれ多分絶対いいよなって。
ヤマオ:(笑)
オノダ:そう。なんとなく(ブラジル音楽に)行こうとしたけど、傍らでちょっとまだその当時の名残は引きずりつつ、みたいなところはあったけど。
ハルカ:うんうん。
オノダ:だからブラジルは自分の好きな音楽とリンクしてって。だけど、そこから聴いてったブラジルはもうずっと現在進行形で聴いてったから。あんまり逆に古典とかは聴いてなかったもんで。
ヤマオ:ああ。
オノダ:そう、ジョビン(アントニオ・カルロス・ジョビン)って何?みたいな。で、ある程度ずっと現在進行形で掘ってったら、どっかでブラジルの新譜があんま出んくなっちゃった時期があって。そこで1回止まって、戻るっていう作業をちょっとし始めてっていう感じの聴き方をしてたかな。
Motive:うん。一緒、一緒です。
イッセイ:俺個人的に一個すごい気になるのは、Motiveさんがキングクリムゾンを2番目に…。
Motive:あ、それ嘘やから。別に聴いてないキング・クリムゾン。
一同:(笑)。
Motive:ごめんね。
イッセイ:何それ(笑)
Motive:光GENJIの対極を考えた時にそうなっただけで。
ハルカ:(Motiveさんは)ユニコーンとか聴いて。で、MTVで、ブリットポップとか。
Motive:そう、ブリットポップ入りで。
イッセイ:テクノに入ったきっかけをすごい知りたい。
Motive:それも同時期かもしれん。電気グルーヴのラジオ。
ヤマオ:なるほど。
イッセイ:電気グルーブか。
Motive:その時にエイフェックス・ツインとか。中学校。高校1年ぐらいか。
イッセイ:コーネリアスは?
Motive:コーネリアスはもうずっと好きやった。
イッセイ:それ、中学校のときですよね?
Motive:中学校。フリッパーズ・ギター。
イッセイ:あぁ~そっか。
Motive:渋谷系は好きやって。で、今転換期の話じゃないっすか。一番の転換期っていうとやっぱDJやり始めたりとか、曲を作り始めると、(オノダさんが)ブラジル掘ったのと一緒で、俺はブラジルも掘ってたけど、レアグルーブとか。サンプリングネタをとにかく探したくて。
ハルカ:ああ。
Motive:ソウルとか、ブラックミュージックにどんどん行っちゃったんすよね。だからロック聴かなくなっちゃった。
ハルカ:ああ。
Motive:だから2000年代が抜けてるっていうのは(オノダさんと)まったく一緒で。
ハルカ:あぁそういうことですね。曲を作ろうと思ったのは何でなんですか?
Motive:何でやろなぁ。でもMPCを買ってさ、あの月賦でね。
ハルカ:何で?
Motive:いやなんかかっこいいなと思って。曲作りたいなって。
ハルカ:ああ、じゃあ曲作りへの憧れがあったんですね。
イッセイ:俺全く一緒かも。あの、Native InstrumentsのMaschine。かっこいいなって。で、買った。
Motive:時代がもう(全然違って)すごいね。こっちはフロッピーの時代やから。
ヤマオ:(笑)
Motive:作ろうってなったら20枚ぐらいフロッピーをインストールさせるところから始めないといけない。
イッセイ:俺プラグインの時代。
Motive:でしょ。
イッセイ:Cubase始まりやけど。
Motive:それ犯罪じゃない?
イッセイ:それ犯罪じゃない(笑)
Motive:DAWなんてなかったあんまり。
コータ:Motiveさんの師匠…。
Motive:荒木くん(荒木 正比呂)ね。
コータ:はい。に出会う前から作曲はやってたんですよね?
Motive:師匠はもう早くて、でもそっから始めると(話が)長くなっちゃうけど、MPCで作った本当クソみたいなアルバムを、なんか東京からリリースしたけど、MPCだけだと限界あるなってことで。そんときに荒木くんと知り合って、Cubase教えてもらったけどね。
ハルカ:ああ。
Motive:でも荒木くんとかはDJじゃないでさ、その元ネタを使ったり、サンプリングを使って音楽作るっていうのやってなくて。で、俺はイギリスのヒップホップが大好きやってさ、そのとき。Massive Attackとか。やけど、MUROさんのテープとかもめちゃめちゃ聴いてた。Diggin‘系の。
オノダ:うんうん。
Motive:MUROさん、やっぱスウィート・ソウルとかね。渋谷系に通ずる、気持ちいいソウルばっか聴いてて。でも暗い音楽も好きで。みんなとおんなじは嫌みたいな。
イッセイ:渋谷系って多分、音楽の幅を広げる上で、めちゃくちゃ多分影響力あると思う。
Motive:そうそうそう。だからSUBURBIAとか、フリーソウルもそのおかげで生まれた音楽っていうか。誰にも聴かんかったものを、価値あるものにしてくれたじゃないすか、あの文化って。
オノダ:そうやね。
イッセイ:やっぱサンプリング文化。
Motive:サンプリング、そうやね。だからフリッパーズの曲聞いても、60年代のソフトロックとか、もうそのまんまやっとるもんね。だから、俺らがDAWとかでモロにサンプリングするんじゃなくて、再演奏して、あの曲とあの曲を組み合わせて新しい曲にしようっていう。
イッセイ:結局それが今まで続いてますからね。やっぱなんか「新しい」音楽を生むっていうのは、多分2000年ぐらいからなくなってきとると思うんすよ。組み合わせで新しいものを作るしかなくなって。
Motive:うんうんうん。
イッセイ:多分それがサンプリング文化の結晶。組み合わせる上で新しいものにするっていう。
ヤマオ:なんかそのヒップホップ的な意味でのサンプリングしか、なんかあんまり感じてこなかったですけど、そういうフリッパーズギターがやってたような、そういうサンプリングもあるんですね。
Motive:だから新しい楽しみ方っていうか。フリッパーズだったら、ある曲が好きで掘っていくと元ネタ見つけてめちゃくちゃ嬉しいとか。でレコード買ったりとか。
イッセイ:俺もその遍歴で言うと、ヒップホップにリル・ウェインでめっちゃハマった後に、やっぱサンプリングの音楽が好きになっていったのと。そのときちょうど「Blog Era」って言って、ブログでヒップホップを紹介していって、サンプリング元はこれなんだ、っていうようなブログがむちゃくちゃあって。で、最初のA$APが出てきた時とかにサンプリングが気になり始めて。で、どことなく自分が好きなヒップホップの曲ってソウルネタをサンプリングしとるんやなってなって。そこからソウルを聴き始めて、テディ・ペンダーグラスとかニーナ・シモンとか。ソウルを聴き始めて結局なんかジャズとか、やっぱブラックなんだなとか、ソウルの感じが好きなんだなってなって。
Motive:うんうん。
イッセイ:だんだんファンク、ジャズってやってくと、クラシックとヒップホップの間を埋める作業になっていって。
Motive:なるほど。
イッセイ:それで今日なんか話せることないかなっていうので気づいてあったのは、クラシックって、あのベートーベンとモーツァルトの時代って、ピアノが唯一オーケストラを作れる楽器やったんやけど。
ハルカ:ああ。
イッセイ:オーケストラを再現できる。
ハルカ:(音の)レンジが広いからね。
イッセイ:そう。で、19世紀になってショパンが出始めたとき。ベートーベンはピアノ弾きであって交響曲を作っとった、ピアノでオーケストラを作っとった人なんやけど、その後にベートーベンがなんかちょっと雰囲気を出す曲をピアノソナタとかでやり始めた時に、その流れでロマン派っていうショパンの時代が出てきて、ショパンはオーケストラがむちゃくちゃ下手やって。あの人協奏曲3曲ぐらいしか書いてなくて。
ヤマオ:へー。
イッセイ:そん中でも『ピアノ三重奏曲 ト短調』っていうチェロの曲はむちゃくちゃいいんやけど。協奏曲2曲書いて、2つとも駄作で。オーケストラを作れないてなった時に、ピアノをオーケストラの楽器じゃなくて、ピアノとして捉えようって言って作ったのがショパンで。
ハルカ:なるほどね。
イッセイ:初めてオーケストラとしてのピアノっていう88鍵じゃなくて、オーケストラを抜きにしたピアノという楽器を確立させた。
Motive:確かに。ソロアーティストっぽいもんなショパンって。
イッセイ:そう。で、それがドビュッシーに繋がって。ドビュッシーがビル・エヴァンスに繋がってるんですよ。
ヤマオ:へぇー。
イッセイ:で、そこでなんかそのピアノの面白さがあるなっていうので、そこをずっと掘るようにしとって。で、俺ん中でやっぱそのピアノをずっと小っちゃいときから弾いてたていうのがあって、ピアノが唯一のオーケストラを再現できる楽器なんだっていうのがどこかで固執しちゃって。でも90年代以降のロックってギターがそれに成り代わろうとしとった時代やと思う、俺は。
ハルカ:なるほどね(笑)まぁーそれが90年代からかって言われると微妙やけどそうなんかな?
イッセイ:うん。だから俺は、『OK Computer』とかはそういう感じだと思う。
ハルカ:ああ。
イッセイ:ギターのサウンドをもって、色々散りばめて、オーケストレーションを作る。っていうロックの捉え方をしてて。
Motive:うん。
イッセイ:だから俺は『OK Computer』より『Kid A』の方が好きだし。
ヤマオ:ああ。
イッセイ:そのギターでそうやって(オーケストラのように)やろうっていうのが俺は、なんかあんまビビっと来なくて。
ハルカ:うんうん
イッセイ:ギターじゃなくてやっぱピアノがオーケストラを唯一表現できると思ってたからロックが俺は完全に抜けてる。ロックってかギターミュージックっていうのが完全に抜けてる。
オノダ:ほうほう。
Motive:例えばさ。あのThe Whoぐらいから始まるロックオペラ、『Tommy』とか。あの、『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』とか。
Queenも『A Night at the Opera』とか。
イッセイ:そうっすね。
Motive:あれってアルバム通して聴かんとさ、その良さって分からんかったりするやんか。
イッセイ:そう。
Motive:サブスク世代の人たちはそういう聴き方するのかな?
イッセイ:いや、俺はやっぱ『深海』から入ってるから、アルバム至上主義。
Motive:いや青春アミーゴから入ったでしょ。
一同:(笑)
Motive:今なかったことにしたよね。
ヤマオ:嘘、嘘にしましょう(笑)
ハルカ:都合がいいことだけ(笑)
イッセイ:『深海』から入ったように見せかけて(笑)
Motive:アミーゴから入った。
イッセイ:いや、本当に俺未だにアルバムでしかアーティストの作家性は出せないと思う。
Motive:やおね。
イッセイ:本当に。
Motive:それって、ここ(Motive、オノダ、イッセイ)は、その感じするんすよ。
コータ:うんうん。そうっすね。
ヤマオ:僕らの聴き方はもう、プレイリスト文化ですね。
コータ:サブスクで、その最初、保存の仕方っていうのが、もうアルバムで保存してなかったですもん。
イッセイ:でしょ。
ヤマオ:いい曲、なんか、なんかいいなと思った曲だけ(プレイリストに)入れてっていう。
コータ:そう、でaLFFoに来て、みんながどうやって音楽聴いてるかってなった時に、やっぱアルバム通して聴いてるっていうことだったんで、それをやり始めたっていう感じっすね。
イッセイ:うん。やっぱピンク・フロイドとか。ツェッペリンとか聴くと、やっぱ『Sgt. Pepper’s』とか『Abbey Road』もそうだし、やっぱアルバムでしか見えない景色が絶対あるっていうのを俺は信じてやまない。
Motive:「俺たちはいつでも」ね。
一同:(笑)
イッセイ:そう、だから良いシングルが1曲あるアルバムだろうと、アルバム通して整合性がないと全然良いと思えない。
ヤマオ:はいはいはいはい。
イッセイ:で、多分Pitchfork(アメリカの音楽メディア)はそうじゃん。
ハルカ:そうやね。
イッセイ:アルバムとして点数つけてるから。
ヤマオ:へー。
ハルカ:Pitchforkは自分にとってめちゃくちゃデカいな。
コータ:アルバムでもその1曲目になんか、Intro 1みたいな感じで、なんかあったり。
イッセイ:そういうのもあったり6曲目、7曲目ぐらいで、ちゃんと落としてくれて、そこがスルメ曲になる、とか。それが気持ちよくて仕方ないっていうね。だから、未だにアルバムでしか評価はできない。その良いアーティストかどうかはアルバムでしか評価ができない。
ヤマオ:じゃあ聴き方は変わってるっていうか、そういうアルバム通しで評価するみたいな軸はあんまり自分には無いかもしれないですね。でも作り手がそれをどう思ってるかっていうのは。
Motive:いやそれはすごい嫌。俺ら(Motiveとイッセイ)は作り手やんか。だからアルバムで聴いてよって思うよね。
イッセイ:めちゃくちゃ思う。
ハルカ:でもそのアルバムをある意味軽視し出したのってやっぱストリーミングからやと思うんすよ。
イッセイ:うん。
ヤマオ:間違いないっすね。
ハルカ:だから。例えば、俺は最初BUMP OF CHICKENから入ったけど、BUMP OF CHICKENはめちゃめちゃコンセプチュアルやったし。
ヤマオ:へえ。
ハルカ:あの、1曲目と最後の曲がインストになってるとかそういうのもやってたし。あと隠し曲ってのもあって。
イッセイ:ああ、そうそう!今ないやんあれ。
ハルカ:あれはCDのフォーマットじゃないとできんからね。
イッセイ:でもあれが楽しみ。買って初めてわかる隠し曲っていうのが結構あったやん。
ハルカ:うん。
イッセイ:だから俺は結構今のストリーミング社会、ストリーミングっていうよりはプレイリスト社会はすごい悲しいな。
ハルカ:うん。まぁそうやな。
Motive:仕方ないけどね。
ヤマオ:そうすね。それ(プレイリスト文化)ネイティブで育っちゃてるというか。
イッセイ:まぁそういうことやもんね。
ハルカ:うんうん。
イッセイ:ちょっと勝手に回していい?
ハルカ:うん、全然いいよ。
イッセイ:1番好きなアルバム。アルバム単位で。知りたい。
オノダ:ああ。
コータ:あー。アルバム単位でか…。
ヤマオ:僕からでもいいですか。
コータ:うん。
ヤマオ:なんか、一番好きだっていう風に聞かれたらちょっと違うんですけど、びっくりしたのはMoodymann。
Motive:ああ。(髪型が)そっくりやもんね。
一同:(笑)
イッセイ:寄せてる。
ハルカ:確かに。
ヤマオ:Moodymannは聴いたのは割と最近ではあるんすけど。それこそ聴いたのは。ハウスとかって一番そのアルバム文化からかけ離れたジャンルなんじゃないかなっていう風に思うんすよね。
Motive:うんうんうん。
イッセイ:なるほど7インチとかね。
Motive:でも、まぁ(アルバム単位でこだわりは)あるんやろうけどね。ハウスとかの人の中でも。
イッセイ:うんうん。でもドナ・サマーとか聴いとると、やっぱその(アルバムの)流れとかはすごく感じる。
ヤマオ:はいはいはいはい。まぁでも(一般的な)見られ方としてはなんかハウスの人とかってアルバムで作家性をこう表現するっていう人ってあんまり少ないじゃないですか。
イッセイ:まあね。
ヤマオ:それで言ったらMoodymannの『Silentintroduction』はそのコンセプトアルバム的な感じになってて。
Motive:で、そこもさ。Moodymannとかって自分で作る人やんか。けどドナ・サマーってさ、なんだっけ、イタロハウスのジョルジオ・モルダーとかがプロデュースやんか。
ハルカ:はい。
Motive:アルバム作る時ってさ、プロデューサーの意図なのか、主役の意見がどこまで反映されとんのかっていう。
イッセイ:でもドナサマーのあの時代はプロデューサー次第な感じがする。
Motive:そうよね。だからマイケル・ジャクソンとかもさ。
イッセイ:あ、そうすね。クインシー・ジョーンズとか。だから、あの『Thriller』とかも、あの『Off The Wall』もマイケルの作品ってよりはクインシー・ジョーンズの作家性ってやっぱ感じてしまう。
Motive:そうやんね。だからハルカちゃんとか結構プロデューサーも好きやんか。俺らがコバタケ(小林武史)好きな感じでさ。
ハルカ:ああ、そうすね。
Motive:そういう聴き方もね。良いけどね。だから別の聴き方、プロデューサーがいいアルバムと、例えばブラジル音楽なんてそんなプロデューサー感なくないすか。
ハルカ:(オノダさん)どうなんすか?
Motive:マルコス・ヴァーリとかは、もうあるもんだけで勝負する人たちじゃないですか。
オノダ:うん。でも最近はプロデューサーでやっぱり変わることはあるかな。
イッセイ:うんうん。このプロデューサーが関わってるからこういう色が出るんだろうなみたいなのは。
オノダ:うんうんうん。誰だろうと思って見ると、あ、あいつか。やっぱこの人かみたいな。
ハルカ:ブラジルの主要な作品に最近よく関わってるみたいなプロデューサーがいるってことですか?
オノダ:そう。
Motive:昔はどうすか?
オノダ:昔で言ったらそれこそ本当に、なんだろう、作家さんの、もうアーティストがプロデューサーみたいな感じはやっぱりあったから。
Motive:トッド・ラングレンみたいな感じじゃないですか。
オノダ:うんうん。だからジョアン・ドナートとかもそうだし。それこぞジョビンもそうだし。
Motive:うんうん
オノダ:大体あの辺の人たちがもうブラジルでは下敷きになってて。で、そっから基本的にはブラジルは歌って歌って歌い継がれてなんぼの文化だから。そう。だからそれで古典というかクラシックが出来上がってて。
ハルカ:うん。
オノダ:で、同じ曲でも全然違って聴こえるっていう。
Motive:うん。
イッセイ:アメリカはだいぶ今プロデューサーっていうのが戻ってきた感あるな。ジャック・アントノフとか。
ハルカ:うーん、まあ、結構ずっと誰かしらおるけどね。流行りのプロデューサーっていうのは常に。
イッセイ:ちょっと前ならマックス・マーティンとかもか。
ハルカ:そうそうそう。おるはおる。
イッセイ:日本はそのプロデューサーが多分、本当に小室始まりのコバタケ。
ハルカ:うん大きいとこやとね。
Motive:だから日本とアメリカはプロデューサーで聴いちゃうかもね。あのJ Dillaとかさ。
イッセイ:Madlibとかもそう。
Motive:そうそうそう。
イッセイ:だからそういう聴き方がストリーミングでなくなっちゃってるかもっていうのが多分今現状なんすよ。その作家性としてのプロデューサー。ジャズで言ってもギル・エヴァンスがプロデュースしてるとか。
Motive:ギル・エヴァンスは素晴らしいよね。あの人がやってる作品は。
イッセイ:全ていい。本当に音が良い。とかあと5人目のビートルズ誰だっけ?
Motive:ジョージ・マーティン。
イッセイ:ああそっか。ジョージ・マーティンだ。
Motive:でも途中からもうジョージマーティンを超えちゃってるよね。メンバーが。
イッセイ:レディオヘッドもおるやん。6人目のね。
ハルカ:うん。ナイジェル・ゴッドリッチ。
イッセイ:まあ、彼がプロデューサーで『The Bends』から関わったわけで。
Motive:でも、ある時期に(プロデューサーを)超えたことない?トム(・ヨーク)とジョニー(・グリーンウッド)が。
イッセイ:多分あの、俺的には、『Hail To The Thief』らへんからかなって感じ。
Motive:うん。
イッセイ:アルバム単位っていうのがもうちょっと戻ってくれれば面白いなと思うんすけど。
Motive:だからコーネリアスとか、『Pet Sounds』が好きなのはバンド内にプロデューサーがいるっていうのがすごいなっていう。
イッセイ:コーネリアスはちゃんとそれでアルバム単位でやってくれとるやないですか。
Motive:うんうん。
ハルカ:オノダさん一番好きなアルバムなんですか。
オノダ:一番好きなアルバム、それ今ずっと話聞きながらなんだろうなんだろうってずっと思っとって。
Motive:そっか。(今の話)それやったね。そういえば。
ハルカ:まだMoodymannしか出てない。
Motive:(笑)
オノダ:アルバム、まあ、そうだね。アルバムでいくと、なんかまあブラジルで1枚あげてもしょうがないなと思ったんで、何にしようかなと思って考えてたけど、うん。まあ、1枚あげるなら、毎年必ずどっかで必ず聴いてるっていう意味でいうと、GREAT3の『ROMANCE』かな。
Motive:ああ~。良いね~。
ハルカ:『ナツマチ』のやつですよね?
オノダ:そう。それはアルバム単体で本当に素晴らしいアルバムですね。日本人、日本のバンドですけど。
Motive:うんうん。でも日本の音楽になるんですね、そこは。
オノダ:うん。ジャンルで1個ずつあげろって言われれば、まあ、もちろんあげれるけど。
コータ:うんうん。
イッセイ:Motiveさんは何ですか?
Motive:何やろうね。難しいよね。
ハルカ:まあ、あれじゃないすか。電気グルーヴのあの。もう一人の人。
Motive:ああ。まりんの『TAKE OFF AND LANDING』ね。
イッセイ:あー。俺Motiveさんはあれかなと思った。コーネリアスの『FANTASMA』。
Motive:ああ、そうやね。『FANTASMA』も良いね。1枚で色々聴けるのがいい。だからビートルズのホワイトアルバム『The Beatles (album)』か『TAKE OFF AND LANDING』か『FANTASMA』。良いラインやね。
イッセイ:ハルカさん何すか。
Motive:『Figure 8』でしょ。
ハルカ:うん、まあ、エリオット・スミスの『Figure 8』。
イッセイ:あー。
ハルカ:まあでもさっきから話してるコンセプトみたいな、アルバム単位でみたいなことで言ったら。っていうか、エリオット・スミスの『Figure 8』がなんで好きかって言ったら、捨て曲がないっていう感じ。
Motive:うんうん。
ハルカ:なんかだから、俺の中でアルバム、好きなアルバムってなったら捨て曲がないってことになるかも。
コータ:ああ。なるほど。
Motive:あー。
ハルカ:それはなんか。多分、Motiveさんとかが言ってるコンセプトアルバムみたいな話とはちょっと違ってて。
Motive:そうやおね。
ハルカ:っていう感じかな。まあ、でも、『Figure 8』、捨て曲あるけど、正直。
一同:(笑)
Motive:捨て曲じゃないけど、あからさまにこの曲どうでもいいなって曲が入ってる方が俺は嬉しい。
イッセイ:ああ、わかる。それがスルメ曲になったりする。
Motive:そうそうそう。だんだんこれ、めっちゃいいなってなる。
イッセイ:そうそうそう。すごいわかる。
Motive:フルコースやとお腹いっぱいになっちゃう。もういいやってなるけど。
イッセイ:そうそうそう。それ(スルメ曲)だけ聴きたくなる時ありますよね。
Motive:そうそうそう。
コータ:でもそれで言うと、(僕は)感覚的にはハルカさんに近いかもしれないですね。自分は何かなってずっと考えてましたけど、まぁプリファブ・スプラウトになっちゃうんすよね。
ハルカ:あぁ~。『Steve McQueen』ね。あれは捨て曲ないな、本当に。本当に捨て曲ない。
コータ:ていうのが多分俺好きなんですよね。コンセプトとかよくわからへんから。
ハルカ:うん。そうやな。
Motive:(俳優の)スティーヴ・マックイーンなんじゃないの?コンセプトは。
コータ:まあ、そうかもしれないですけど。
ハルカ:まあ。でもコンセプトみたいなこと言ったら、まあ、Wilcoやな。Wilcoの『Yankee Hotel Foxtrot』。
それがなんで好きかって言ったら、やっぱりあのPitchforkで、Pitchforkっていうあの音楽批評サイトがあって、それで10点満点とってるアルバムで。だから正直最初、10点満点とってるから聴いたんすよ。
ヤマオ:あー。
ハルカ:で、最初はすんげー地味なアルバムやなと思って。でも10点って言われてるからには何らかの理由があるに違いないと。
イッセイ:良さを見つけなければいけないっていう。
ハルカ:うん。と思ってずっと聴き続けた結果、なんかだんだんこれすごいなっていう。これは『OK Computer』とかもそうなんやけど。
イッセイ:あー。なるほど。
ハルカ:だから、なんかコンセプトアルバムみたいなのは、うん、そうすね。Pitchforkで評価されてるやつをひたすら聴いてたみたいな感じ。
イッセイ:で、俺とハルカさん多分そこが全く一緒。
ハルカ:うん。
イッセイ:俺もPitchforkで聴き漁って、評価が良いものをなんで評価が良いかを解析し続けるっていう作業。
Motive:でも俺らのときもあったか。俺らの時はBounceとかで見てたじゃないですか。タワレコで
オノダ:うん。
Motive:でもだから、(ハルカとイッセイは)よりなんか批評とかを見るようになった世代なんやと思うな。
イッセイ:だから良いものをちゃんと良いと思えるように知識をつけていくっていう作業。
ハルカ:そうそうそうそうそう。なんかあんまりその自分の感性を信じてないっていうか。
ヤマオ:あー。へえ。
イッセイ:あと俺はやっぱ作り手やったから、みんなが良いと思うものを作りたいってなると、みんなが何を良いと思っとるかをちゃんと解析しなくてはっていう研究家目線。
オノダ:うんうんうん。
イッセイ:俺その面で言うと好きなアルバム、まあ『深海』は大好きだけど。
コータ:うん。
イッセイ:世代で言うと、『Random Access Memories』とか。
ハルカ:あ、ダフトパンク?
イッセイ:とか。あと、時代全く変えると、世代じゃないけど好きなアルバムはやっぱ、はっぴいえんど。
ハルカ:あの、どれ?。
イッセイ:『風街ろまん』
ハルカ:あー。
イッセイ:あとヒップホップは結構やっぱあのストーリー性があって、スキットがあったりとか。
コータ:うんうん。
イッセイ:で、世代で言うとケンドリック・ラマーの『Good Kid, M.A.A.D City』。
Motive:(イッセイくんは)英語わかるしね。
イッセイ:ヒップホップはやっぱそれが一番、歌詞がありきの。
コータ:うん。
イッセイ:なんか音だけでヒップホップ楽しむってなると、それはもう50%しかなくなっちゃうなって俺は感覚的には思う。
ハルカ:まあ、そうやね。わかりっこないもんねケンドリック・ラマーとかね。
イッセイ:ストーリーがあるからね。
Motive:すごいねイッセイくん。「地元じゃ負け知らず」やんか。
一同:(笑)
コータ:(Motiveさん)めっちゃ『青春アミーゴ』聴いてるやん(笑)
ハルカ:記事の最後『青春アミーゴ』のAmazonのリンク貼っといた方がいいですね(笑)
一同:(笑)
コータ:一個聞きたいのは、音楽をやっている人たちからして、その評価するうえで自分の感性を信じてないみたいに言ってましたけど。
ハルカ:うんうん。
コータ:ま、でも別に評価できるじゃないすか。楽器やってるから。
ハルカ:うん、まあそうかな。
コータ::その上で、なんか、この曲の、例えば自分が好きな曲ってなった時に、何をもって良いと思うんすか?
ハルカ:あー。
Motive:良い質問やね。
ハルカ:これはめっちゃ人によってそれぞれやと思う。俺は、コード(和声)が大好き。
コータ:コードなんすね。
Motive:俺は音像。
コータ:そうですよね。
イッセイ:俺も音像かな。レコーディングを含めての音像かな。
コータ:音像、音像っていうのをもうちょっと噛み砕くと。
ハルカ:例えばコータの好きなプリファブ・スプラウトだったら、リバーブがすごい効いてる、音がふわっとしてるやんね。あれと、なんやろ、例えば。あれとアヴリル・ラヴィーンやと、まぁ曲にもよるけど全然リバーブ効いてない。
イッセイ:コンプ(コンプレッサー)かけまくりのね。奥行きが無い
コータ:そういうことですね。
ハルカ:その聴いた時の雰囲気が好きかどうかっていう。
コータ:ああ。
イッセイ:だから俺はそういう意味で(ダフト・パンクの)『Random Access Memories』はむちゃくちゃ考え尽くされた音像やと思う。
ハルカ:うんうん。
コータ:それって極端に言うと、その論理的か感覚的かみたいなことですか?
ハルカ:うーん。
イッセイ:俺はだいぶ論理的に考えてるかな。
コータ:あーそうなんや。
イッセイ:俺はやっぱあの、コードも含めてクラシックからのなんか。
ハルカ:(イッセイくんは)コードわかるからね。
イッセイ:こういうことをやりたいんやなっていうのとかがあるから。でもそれ、クラシックでも昔からあって、ベートーベンとかもあれってほぼパクリなの。元々あった音楽のモチーフ1小節だけを切り取って、それを自分の曲に編曲していくっていう。クラシックって編曲の作業で、変奏曲っていうのもあるぐらい。だからそれをどう自分なりにしていくか。けど理論には則ってますよ。で、ルールがあって、ソナタっていうのもちゃんと反復っていう理論があっての、それに自分を落とし込むっていうのがあって、そのスキルがありきの表現力。っていうのが俺は結構評価基準。
コータ:ああ。なるほど。
イッセイ:理論もあり、スキルもあり、そこに表現力を落とし込むっていう、それが揃ってるのがいい作品やなと思う。だから何もわからずに偶発的に生まれたものはあまり好きじゃない。だから、俺はニルヴァーナもあんまりかな。
コータ:だから、そういうことっすよね。だからロックとか。
イッセイ:ガレージ系とかはなんかちょっと自分とは違うかなっていう。
コータ:なるほど。
イッセイ:なんでもいいではない。って思っちゃう。
ハルカ:俺は逆にスキルは全くいらないと思ってて。
イッセイ:だから上手すぎるとハルカさんは嫌いやもんね
ハルカ:スキルあってもいいけど、なくてもいいし、どっちかっていうとない方が好きかな。アイデアだけで良いみたいな曲の方が好き。
イッセイ:だからそこが多分、ロックがルーツなのとの違いで、ヒップホップって結局Jディラの流れがすごい強いから。Jディラなんてむちゃくちゃ考え尽くしてビート作っとったってなると、やっぱ理論立てて、それを感覚も含めてやってたってなると。なんかちょっと違う路線なんやろな。
ハルカ:いやそれもまあ色々あるけどな。ヒップホップもだって、一番スキルなくてもできる音楽でもあるから、ある意味では。
イッセイ:まあ、そうね。サンプリングだけで成り立つ音楽。
ハルカ:そうそうそう。ロックでもヒップホップでも別にうまくなくても、良い音楽が何かってことが分かっていればアイデア一発で良い曲ができたりするからそれが面白い。
コータ:例えばニルヴァーナのカート・コバーンが、めちゃくちゃ演奏下手やけどめっちゃくちゃ好きになってしまって、なんかカートコバーンが好きっていうのを言ったから売れているバンドみたいなのがたしかありますよね?
ハルカ:The Shaggsね。あれはなんというか、あまりにも下手すぎて誰も聴いたことのない音楽になってて。それが新鮮でいいよね。
コータ:ああ。でもそういうのは嫌、嫌なんすもんね。
イッセイ:いや、そうね。俺はやっぱ知的であってほしい。
ハルカ:なるほど(笑)
Motive:そうね。
イッセイ:やっぱなんか知的な音楽が好き。
ハルカ:オノダさんはどうですか?音楽の聴く時にどういう、何がいいって思います?
オノダ:まぁ、僕は理論とか理屈は全然わからん方やから。だから今の話で言うと、まぁ音像っていう方になるのかな。
Motive:ブラジル音楽はもう音像が完璧なんすよね。
オノダ:まあ、そうすね。気持ちだけの話で言うと、どんだけ心が動くかっていうところで聴いた時の印象が決まるんだけど。
イッセイ:どういう時にビビって来るんですか?
オノダ:それはなんかさっきイッセイくんが言った、まあ自分もどっちかっていうと知的なものが好きなんで、その勢い一発というよりは。
Motive:ブラジル音楽は音像もコードも完璧なんですよね。
ハルカ:あー。そうそう。コードもすごい。
オノダ:そう。だからこう、なんとも言えん感じっていうのを自分は音楽に求めるので。とりあえず言葉にしちゃうのがもったいないみたいなところが自分としては音楽。
ハルカ:決められない感情みたいな。
オノダ:そうそうそうそう。
イッセイ:そのブラジルとか知的な音楽の話で思ったのは、民族系だとか。トライバルな感じを知的でっていうのを重ねると。ルーツを大事にしてるものってやっぱ知的やなって。自分が好きなものを自分なりに消化しようとしてるもんでいいなってすごく思う。
オノダ:うんうん。:なんか、再解釈したりとかね。
イッセイ:そうすね。それがやっぱなんか音楽に対するなんかリスペクトを感じるというか。自分はこれ好きだったからもっと広まってほしい。けど、自分なりに解釈して。今はこんな音になりました。どうでしょう?みたいな提示の仕方っていうのは結構面白い。なんかどうにでもなれ、でやってるやつよりは、私はこんな感じで解釈しちゃったんですけど。音楽好きの方々どう思います?みたいな提示をしとるものがなんか結構面白いな。で、そこの中で良し悪しを見つめてくのが。なんか俺はその解釈は好きじゃないとか、これとこれ組み合わせるんや新しいなとか、そういうのが面白いな。
ハルカ:まあ、その大前提、全く新しい音楽なんてもう作れないっていう気持ちで作ってる人じゃないとなんか嫌かもしれんね。
イッセイ:そうそうそうそう。それこそあの前、Motiveさんがなんか、ブログのどっかで多分グールドを載せとったやん。
Motive:グレン・グールド?
イッセイ:そうそうグレン・グールドとかも、あの人はもう自分なりの解釈でしかない。けどリスペクトが込められてるから、あんだけ変わってても良い音楽として成り立つ。
Motive:うん。
イッセイ:だってあの人バッハの弾き方が全く違う。
Motive:本当はあんな弾き方しちゃいかんのよね。
イッセイ:そうそう。だけどリスペクトがあって、それを自分の解釈で落とし込んでるから成り立ってて評価されてるっていう。なんか、やっぱそのリスペクトを自分で消化しようとするなんか知的財産みたいなのはやっぱ歴史に残るんだろうなっていうのがすごい最近思う。
ハルカ:うんうん。
Motive:THE BOOM、俺も大好きだったんですよ。あんなにブラジル広めたのってあの人っすよね。
オノダ:あー。そうやね。でもおかしなもんで、なんかブラジル色が強くなってきたら聴かなくなったんすよ。
ハルカ:あー。
Motive:そうそう。それがね、不思議。ちょっと入れるぐらいがいいのに。
ハルカ:(オノダさんは)シカゴ音響派からブラジルの要素を感じ取ったってことですもんね?。
オノダ:そう。
ハルカ:だからそれって結構、いわゆるブラジルのステレオタイプ的な音楽とはちょっと違いますよね。
オノダ:うん。そう。
イッセイ:サンバ、ボサノヴァとは違う。
オノダ:でも、結局ブラジル聴いてたら、最後宮沢和史に当たっちゃったけどね。
ヤマオ:それはどういう。
オノダ:その、なんだろう。なんであのとき(THE BOOMを)嫌になっちゃったんかなって思うと、さっきの知的な部分と民族の部分の話でいうと、その民族の部分がなんかちょっとこう安っぽく聴こえちゃったんだよね。多分。そう。
Motive:でも多分あの人ほんとに(ブラジル)好きですよね。GANGA ZUMBAとか知ってます?
オノダ:うん、わかります。
Motive:本当になんて言うか、いわゆる民族音楽が大好きなんすよね。
オノダ:ですよね。そう。
Motive:ただそれを思いっきりやられるぐらいなら、俺ら自分で掘って本場のやつ聴くよってなっちゃうんですよね。だから入り口としてやってくれたのは素晴らしいんですけど。
イッセイ:あぁでもそういう人は俺はすごいと思う。
Motive:うん。
オノダ:そうすよね。だから。そう。宮沢和史で言ったら『AFROSICK』っていうアルバムがあって。
Motive:うん。ソロのね。
オノダ:そう。あれもやってることは素晴らしくて、参加してるアーティストも好きな人ばっかなんだけど、しっくりこなかったんだよね。
Motive:うん。でも、なんかアルゼンチンとかブラジルでいったら、あの人めっちゃ有名ですよね。アルゼンチンとか、『島唄』とかみんなで合唱できるぐらい有名なんすよ。
オノダ:そうそうそうそう。
Motive:『carnaval-カルナヴァル-』っていう曲わかります?THE BOOMの。
オノダ:うんわかる。
Motive:あれとかはブラジル音楽で言っても素晴らしい。
オノダ:うん。そうね。
Motive:でも変に音質が良すぎて。J-POPを通っちゃったからブラジル音楽として聴きづらい。ちょっと音悪い方がいいんじゃないすか。
イッセイ:あーなるほど。
オノダ:確かになんか、ダサいところと紙一重というかね。
Motive:そういう意味で音像ってめちゃ大事。
コータ:めちゃくちゃ、あの、アホみたいなこと言うかもしんないすけど。
Motive:「うんこ」って言って。
一同:(笑)
イッセイ:急に(笑)
コータ:いやいやそこまでアホじゃないですけど(笑) その、音楽って芸術だと捉えてます?
ハルカ:あー。それはどういう意味?
コータ:いや、そのさっき言ったコード進行とかは型にはまったものじゃないすか。
ハルカ:いやー、うーん、まあ、そう、そうかもしれない。
コータ:うん。まあ、組み合わせは色々あると思いますけど、ある程度決まってるじゃないですか。
ハルカ:うんまあね。
コータ:で、なんかその、でもなんかその音像って芸術的な言い方じゃないですか。なんかその、なんていうんやろ、その。
Motive:なんとなくわかるよ。
コータ:なんていうんやろね。その。絵とかやと、なんか本当に、自由にブワーって描いて。でもさっきのイッセイさんの話で言うと、なんかその、自由にブワーって描くっていうのはあんま好きじゃないってことですかね?。
イッセイ:いや、でも絵で言っても自由にブワーって描いてるように見えて、本当に評価されてるのはむちゃくちゃ緻密に考えられてるやつやと思うから。
コータ:うんうん。
イッセイ:だから、それは結構一緒で、俺は音楽は芸術であるべきやと思う。今のこの消費社会の中で芸術性が薄まってるのをどうにかしたいなと思って。なんかその、消費音楽を、もっと芸術性を高めたい。っていうのが俺は大義名分としてあって。で、多分それはオペラとかクラシックから来てるんだと思うけど。芸術であるべきだとは思う。
コータ:うーん。ハルカさんはなんかそういう感覚あります?
ハルカ:俺はね、えっと芸術っていろんなフォーマットがあるけど、音楽が特殊なのは、全ての曲が250円で売られていることがすごい特殊だと思ってて。
イッセイ:あー。そうそう。本当に。
ハルカ:そう。そのダウンロードとかする場合にね。誰が作っても値段が一緒っていうのが他の芸術と違うところで、絵とかの場合は、有名な作家さんやと何億とかになったりするけど、音楽って別にレディオヘッドが作ろうがファンキー・モンキー・ベイビーズが作ろうが250円だったりする。
コータ:確かに。
ハルカ:そう。でもまあ、イッセイくんが作り手の側から音楽は芸術であるべきって言ってるのは分かるんやけど、音楽ってフォーマットのある意味で面白いところがそこやと思うんすよ。だから逆に言うと、ピカソと、なんか趣味で絵を描いてる人を、もはや同列に捉えられないじゃない。
コータ:うんうん。
ハルカ:だけど音楽はそれが価格だけで言えばの話やけど同列に捉えられてしまうっていうところが良くも悪くもある。
Motive:うん。そうなんやけど。でもストリーミングみたいなのが出てきて。ずっと聴かれ続ける音楽なのかそうじゃないのかっていう。
ハルカ:はいはいはい。
Motive:多分ピカソの絵はこれからもずっと美術館でみられる。多分『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』とかもずっと聴き継がれると思う。
ハルカ:はい。
Motive:で、ストリーミングに置いてあっても、聴かれないものは聴かれないから。芸術っていうのはどの媒体に置かれてても聴かれるものなのかなって思う。
イッセイ:それって映画でも一緒やん。
ハルカ:いや、映画はまた全然違う。
イッセイ:いや、でも、値段は一緒やん。
ハルカ:あ、そうそうそう。映画は、さらに違って。映画はまず作る、まあ音楽も一緒やけど製作費があって、そっから配給があって。で、映画館があって、見るじゃない。で、ストリーミング。だから商業的な窓口がより多いから、よりビジネスとして成功しないとできないフォーマットになってる。
イッセイ:なるほど。
ハルカ:そう。だからそれが全然違うかな絵とかと。でも、そのフォーマットでやっているからこの表現になっているっていうことがあるから。だから映画はそもそも公開されへん、公開されへんっていうか、届かへんかったら意味がないわけやから。
コータ:あー。
ハルカ:絵は別に届かんくても描けるやんか。だから、全然そこが違うわけで。
イッセイ:でもなんか作り手からすると、その絵が例えば1個30万だとか50万だとか100万だとか、億がつくっていうなった時に、音楽は届けるものは250円かもしれんけど、それは二次流通であって。作る側がいくらで契約を結ぶかとか。その単価を上げていくことって作品の評価を上げてって、単価が上がっていくって、絵と一緒やなと最近は感じてて。例えば、じゃあ、作ってくださいって言われた時に、それが何十万なのか100万なのか、1個受注を受けるってなった時に、この、この値段で作ってくださいって言われた時に、まぁ結構絵と同じような仕組みではあるのかな。
ハルカ:その受注っていう場合はね。うん。
イッセイ:そう。その場合はね。けど販売ってなった時にそれが250円。になるのはその後のシステム的な話であって。結構僕らが仕事受ける時も、別にその、売られる値段250円とか、あんま考えないんで。受注受ける時に、じゃあそれが自分の作品がいくらで見られるようになるのかとか、ライブをいくらでブッキングされるのかとかがあるから。その値段、その値段を上げていくことが、多分絵の値段を上げていくことと。同じステータスになりつつある。
ハルカ:まあ、そうね。ライブ稼業はね。
イッセイ:まあ今はマーチャンダイズでしか稼げんとかいうけど。
ハルカ:まあ、でもだから、さっき残っていくのが芸術みたいな話でしたけど。でも今残っている絵が良いかどうかっていうのは、結局どういう評価を受けて、値段が上がっていってっていうのが、やっぱりあるじゃないですか。そういう意味で言った時に、音楽も聴き継がれていく音楽とそうじゃない音楽があると思うけど、聴き継がれていく音楽っていうのは、やっぱり何らかの評価をされてたりとか、普通にリスナーに受け入れられてるからそうなるわけなんですけど。そこが、もうちょい、絵よりもフラットなところが面白いところだと思う。だから僕らが聴くことによって、この音楽を長生きさせることができるっていう、なんかそこが絵とかよりもある感じがする。
コータ:あーなるほど。
ハルカ:絵をなんか俺が好きって言ったところでその絵が残るっていうよりかは、音楽の方がまだなんかその、民衆の力で生き残ってくみたいなことになりやすいと思うし、手が届きやすいからっていう。
イッセイ:それこそさっきあの、アヴリル・ラヴィーンは、コンプ効かせまくりの、奥行きがないって言われながらも、『Sk8er Boi』とかは、ちゃんと時代物として多分残るやろうし。っていう面白さは確かにある。
ハルカ:そうそうそう。
イッセイ:良い悪いはあるけど、残るもの残らないものっていう評価もある。
ハルカ:オノダさん、音楽が芸術かどうかっていうのはどう思います?
オノダ:あんまりそんな風には正直聴いてないけど。でも何だろう。やっぱ絵とか映画とは違って、音楽は耳だけに入ってくるものだから、言い方を変えれば、ありがたみもなく受け入れられる芸術だと思ってて、
ハルカ:そうそうそうそうそう。
コータ:わかりやすい。
オノダ:うん。 だから受けてる側はありがたみもなく、あ、この曲いい曲だなって思った、その曲が、実はすごい作家さんが作ってたりとか、だからポップミュージックはそこがいいなと思ってるんだけどね。
イッセイ:それが3分で終わるっていう良さもあるし。
オノダ:そう。それがずっとやっぱ聴かれるっていうところはさっきの残ってく残ってかないっていう話の差にはなってくるのかなと思うけど。それが形になってくると、レコードの希少価値が上がったりとか、それこそこの前のヴィンセント・ギャロの売り方みたいなのも、ていう風になってくるとそこはまた作品っていう形になってくるから。
Motive:そう。それが分かるのってやっぱオーディオ機器っていうか。NASPECさんが売ってるようなオーディオ機器っていうのは職人さんが作るもんでしょ。オノダさんと一緒にNASPECのオーディオ視聴質行きましたけど、やっぱ全然違うじゃないですか。そういう機会がもっと増えればいいなと思うし。なんか、そこで聴かずに判断するのもちょっと違うよね。
オノダ:うんうんうん。
ハルカ:そう。だからやっぱ、まあ、音楽が芸術かどうかということは置いといて、音楽は誰でも、もうストリーミングでも聴けるし、YouTubeでも聴けるし、なんだって聴けるんやけど、それを良い音響で聴いた時に、やっぱりより細かな違いがあって。
コータ:聴く媒体によっても、聴き方によっても全然感じ方違ってくると思うし。
イッセイ:いや、いい音響で聴くことはすごい大事やと思う。聴こえない音に耳を澄ませるっていうのは、やっぱ音楽に対する誠実さだし。
Motive:(NASPECさんに)予約すれば聴きに行けるわけやから。本当涙が出そうになる瞬間あると思うんですよ、ああいう音響で聴くと。いつかこの音響を、お部屋に置きたいなって、僕も仕事頑張ろうとか。俺もミュージシャンなろうとか。ただ1000円毎月払えば全部の音楽聴けるからラッキーじゃなくて。こういう時代をありがたがってさ。
ハルカ:より深くね。楽しめる。
イッセイ:いや、本当にそう思う。
ハルカ:そうそう間口が広くて、深みもあって、そういうフォーマットだよね、音楽っていうのは。
イッセイ:だからこそめちゃめちゃ難しい。ありがたみもある。
Motive:うんうん。
以上
長かったですよね。
次回はこの無駄話を元に「カットアップとサンプリング」について書きたいと思います。
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DJ MOTIVE
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DJ MOTIVE /deadbundy/P.C.M
DJ/PROCUCER
アルバム”CURE”がiTUNESのHIPHOPアルバムチャートで最高1位。2008年インディーズHIPHOPベストアルバムHIPHOP, TECHNO, ELECTRONICAなど縦横無尽な作風が特徴。フランスのファッションブロガーGarance Doréが制作したクリスチャン ディオールのweb用ショートムービーにmomigaiの「whales」「senaka」が使用される。
3rd ep 「seaside」はUKのダウンロードサイトHTFRのチルアウトチャート3位。別名義のユニットdeadbundyはcalm、藤原ヒロシなどから支持。ドイツのレーベルHELL YEAHより12’「Lorenz/deadbundy」発売。2020年フリースタイルダンジョンのモンスター裂固とアルバム「omniverse」伝説的なジャズトランペッター近藤等則との共作 “ZEN” 発表。2022年よりテクノアーティストの名義である “P.C.M” 開始REMIX、CM音楽、サウンドトラックなどコラボレーション多数。
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