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音楽で旅するブラジル【第2弾】 (Saori)

一度ブラジル料理を挟んでからの、ブラジル音楽第二弾。
前回書いたのが4月
2ヵ月ちょっと経過して、ようやく第二弾を書く気になりました。

それというのも先日のaLLFoでのイベントがあったから。
オノダアツシさんがご自身の持ち時間にブラジル音楽を紹介されていて触発されました。
さらにこのブログのことまでご紹介いただいて嬉しくなったからです。なんて単純。

前回とはまた違ったルーツや背景を持つジャンルをご紹介したいと思います!
今回は一部私もちょっと勉強しながら書きました。やっぱり楽しい…。

今回もジャンル紹介をしつつ、そのジャンルのメジャーな曲と最新のヒット曲をご紹介していこうと思います!
※ざっくりです。詳しい説明はWikiとか見てください。

◆Choro(ショーロ)

サンバやボサノヴァのルーツとも言われる、ブラジル最古の都市音楽のひとつです。19世紀末にリオデジャネイロで西洋のクラシック音楽とアフリカ由来の音楽が交わって誕生したそうです。Choroというのはポルトガル語で「泣く」という意味なのですが、実際は軽やかで遊び心あるメロディーと、繊細なアドリブが魅力です。メロディーを大切にしつつ装飾的に即興していくスタイルで、実はジャズより歴史が古い即興音楽でもあります。フルートやクラリネット、7弦ギター、カヴァキーニョ(小さいギター)、バンドリン(マンドリン)、パンデイロ(タンバリン)などの編成で演奏されています。日本のカフェや雑貨屋などでもBGMとして親しまれていて、「ショーロ」という名前を知らないけど耳にしたことがある人が多いかもしれません。

バンドリンの名手による名曲です!
こちらも超メジャーな一曲

最近のChoroはこちら。

現代のChoroを象徴する一曲といっても過言ではないかと
クラリネット、トロンボーンなど
それぞれ精鋭が演奏しています

◆Sertanejo(セルタネージョ)

ブラジル内陸部の農村や牧場で発達した「Musicá Caipira(田舎音楽)」をルーツに、アメリカのカントリーミュージックやラテン音楽の要素を取り入れて発展したのがセルタネージョです。もともとはアコーディオンやギターを用いた素朴な音楽だったのですが、2000年代に入ってからは「Sertanejo Universitário(大学生のセルタネージョ)」としてR&B的なメロディや流行のダンスビートを融合したポップ寄りのスタイルが登場して、大衆的に親しまれる音楽ジャンルのひとつになりました。

まさにカントリー
ゆったり時間が流れてそうです
その昔はこのジャケットのように
カウボーイハットをかぶって歌うのが定番だったそうです

恋愛をテーマにした親しみやすい歌詞と覚えやすいメロディーが若者の心をつかみ、今ではチャートの常連ジャンルに成長しました。サッカー選手のネイマールが試合後のゴールパフォーマンスでセルタネージョの曲を披露したことも人気となった理由のひとつです。

ブラジルにとどまらず、世界的に有名になってました!
ネイマールとも共演してます
セルタネージョの女王と呼ばれていましたが
飛行機事故で26歳の若さで亡くなってしまいました

◆Frevo(フレーヴォ)
ブラジル北東部ペルナンブーコ州の州都Recife(ヘシフィ)と古都オリンダで生まれた、まさにこの地方の“カーニバルのための音楽”がフレーヴォです。とにかく速いテンポにブラスバンドが街中に響き渡る。踊りもただのステップじゃなくて、ジャンプしたりしゃがんだりひねったりともうほとんどアクロバットで、ステップの種類はなんと100以上あるとか。

カラフルな小さな傘(Sombrinha)をクルクル回しながら踊るんですがこれにも実は歴史があって、昔Capoeira(カポエイラ:格闘技と音楽、ダンスの要素が合わさったブラジルの文化-Wikipediaより)が禁止されてた時代に、傘を武器じゃなくてファッションですよーと見せかけるために踊りに使っていたと言われてます。そういう背景も含めて、ただのお祭り騒ぎじゃない奥深さを感じます。

これがダンス!見てるだけで息があがりそう
1970年代の名曲ですが
2024年のCarnavalで最も演奏されたFrevoソングだそう

どうですか、このダンス。
私もRecifeへ旅行に行った時に実際にこのショーを見たのですが、動きの大きいステップで本当に見ごたえがあって感動しました。


最新の楽曲はこちら。

2025年のカーニバルに合わせてリリースされた楽曲
2023年の曲ですが・・
伝統を踏まえつつも、現代的なサウンドです

Maracatu(マラカトゥ)
こちらもブラジル北東部ペルナンブーコ州(ヘシフィやオリンダ)で生まれた伝統音楽で、アフリカ由来の宗教儀礼や行進文化が色濃く残るスタイルです。

なかでも「Maracatu Nação(マラカトゥ・ナソン)」は、アフリカの王国文化をもとにした“即位式”がルーツとされ、王や女王、旗手、貴族役などが登場する華やかなパレードが特徴です。

演奏は、大太鼓(アルファイア)を中心にアグゴー(ベル)、ガンザ(シェイカー)、カイシャ(スネア)などの打楽器が重なり合い、深く力強いリズムを生み出します。そこに掛け合いの歌や踊りが加わり、伝統と祝祭が交差するような独特の空気をつくり出しています。

ひとつ前に紹介したFrevo(フレーヴォ)とは音楽的にも文化的にも異なる背景を持ちながら、どちらもペルナンブーコのカーニバルには欠かせない存在。リズムもスタイルも違うけれど、同じ地域の中で共存し、刺激し合ってきた関係にあります。

伝統的な宗教儀式と深く結びついた
マラカトゥの精神性や信仰の中心を象徴する曲
原曲はJorge Mautner(1974年)によるもの
こちらはカバーですが
Maracatuのリズムを初めて広く全国・世界へ知らしめた名演

宗教的ルーツがあるため、核となる伝統を守り続けているジャンルといえます。
そのため、今と昔で曲としての大きな差はあまりないように感じられます。

昨年リリースされたアルバム
伝統のスタイルを大切にしていることがよくわかります

Brega(ブレーガ)

ブラジル北部、パラー州の州都ベレンで発展したジャンルで、もともとはカリブ海の音楽の影響を受けた大衆的なラブソングを指していたそうです。「Brega」というのは「ダサい」とか「ベタすぎる」といった意味合いがあって、長らく揶揄の対象でもあったそうです。

でもその過剰な感情表現こそがBregaの魅力です。愛、嫉妬、失恋といったテーマを全力で歌い上げるスタイルは、ちょっと演歌にも近い親しみがあります。

80年代に人気を博したこの曲はその代表格
今でもブラジル人なら誰もが知っている国民的ヒットソング
「俺は犬なんかじゃないんだ」という切実な男心を歌ったBregaの原点的ヒットソング

最近ではこのBregaが進化して、Brega Pop や Tecno Brega というダンサブルなスタイルが登場し、さらにBrega Funkと呼ばれるクラブ系の音楽も若者を中心に流行しています。

前回のブログで紹介したForróとTecno Bregaが融合
まさに新風です
こちらはBrega Funk
ゆるくて癖になるサウンド

Samba Reggae(サンバ・ヘギ)

1980年代、バイーア州サルヴァドールで誕生したこのジャンルは、名前の通りサンバとレゲエの融合なのですが、実際にはアフロビートやカリブのリズムも混ざっていて、重くて跳ねるようなグルーヴが特徴です。
この音楽の背景には、黒人の誇りや文化的アイデンティティを重視するアフロ・ブラジル運動があり、特にBloco Afro(ブロコ・アフロ)と呼ばれる打楽器隊が、サルヴァドールのカーニバルで大活躍しています。中でも有名なのがOlodum(オロドゥン)とIlê Aiyê(イレ・アイエ)。マイケル・ジャクソンがMVでOlodumと共演したことでも世界的に知られるようになりました。

80年代に人気を博したこの曲は
サンバ・ヘギを代表する一曲
Santos近くのGuarujáのクラブでライブがあって
友達と行った思い出があります!

最新のSamba Raggeはこちら。

サンバ・ヘギの華やかさと高揚感を体現した注目作
重厚なビートとアフロの響きが光る
今のサンバ・ヘギを語るうえで外せない一曲

◆Tropicália(トロピカリア)
最後にちょっと毛色が違うこちらのジャンル。
「音楽で革命を起こした」のが、このトロピカリアです。1960年代のブラジルで、軍事政権に抑圧されていた若手アーティストたちが立ち上げた、音楽やアートを通じた大きな文化運動です。サンバやボサノヴァといった伝統的な音楽に、ロック、サイケデリック、アヴァンギャルドなどを混ぜて、混沌としたブラジル社会に対して「こんな表現もありだよ」と自由に響かせたのがすごく印象的です。
カエターノ・ヴェローゾやジルベルト・ジル、オス・ムタンチスなどが有名で、ちょっと変わった曲も多いですが、聴いてるうちに意外と癖になります。
当時の空気を映したドキュメンタリーやライブ映像もあるので、映像で観ても楽しめるジャンルです。

結構ぶっ飛んでます。
1967年発表、自由と革新の名曲

トロピカリア、今ではもう「ジャンル」というより「表現のスタンス」みたいなものになっていると思います。
ジャンルにとらわれない柔軟な表現は、今の世代のアーティストにも自然と受け継がれてる感じがします。

前回と今回で色々なジャンルをご紹介しましたが、どんどん形を変えていっています。
国内外のジャンル同士が組み合わさって違うジャンルができたり。
追いかけ始めたらやめられません。

少しでも興味を持っていただけたら、注目すべきはPrêmio Multishow(プレミオ・ムウチショウ)です!
「Prêmio Multishow」は、ブラジルで毎年開催される超有名な音楽アワードで、1994年からブラジル音楽を盛り上げてきた国民的イベントのひとつです。

「Globo」というテレビ局が主催していて、ジャンルを問わず活躍したアーティストたちが勢ぞろいします。
ジャンル別の章も豊富でブラジルならではです。

毎年ライブパフォーマンスやコラボ演出も豪華で、「ブラジル版グラミー賞」や「ブラジルのVMA」と言われるほど見どころ満載のイベントです。

どの曲もその土地に根ざした文化や歴史、人々の感情としっかりつながっているのがブラジル音楽の魅力です。
少しでも興味を持って聴いてくださる方が増えると嬉しいです!
最後に、今回のブログで紹介した曲のプレイリストを置いておきます。

NASPEC

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