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【DJ MOTIVE’s aLFFo MAGAZINE】Massive AttackとStanley Kubrick

“僕の大切な人を奪うのか? 君は僕の相棒か?
僕は狂っているに違いない、ほら、酔っ払っている
君が近所で穴を掘っているのを見た
君はイカれているけど、ただ怠けているだけだ、きっと怠けている”
Massive Attack「Karmacoma」

僕はよくヒップホップのトラックメイカーと思われがちなんですが、アメリカのヒップホップといえばNative Tangue、2000年代のL.Aアングラシーン、J.Dilla、Stones Throw周辺といった限られた部分しか熱心に聴いていなくて、どちらかといえば、Roots Manuva、Herbaliserといったヨーロッパのアングラなヒップホップや、WARP、NINJA TUNEといったレーベルのいわゆる”アブストラクト”と呼ばれるブレイクビーツに近いものを聴いていました。
暗ーいやつです。

その頃はアブストラクトの代表格、DJ Shadowがリリースしていた、James Lavelle率いるMO’WAXというUKのインディなオルタナ、ブレイクビーツレーベルがファッションブランドのAPEや藤原ヒロシさんも関わっていたMAJOR FORCEとコラボしたりと音楽とファッションが一緒に盛り上がっていた時期で、10代だった僕はこれが世界で一番クールなシーンだと感じていました。

Massive Attackはブリストル出身の3人組でデビューしました。
トリップホップ、ブリストルサウンド、アブストラクトヒップホップなど色々な呼称で呼ばれていたこのシーンにおいて、彼らのエレクトリックなダブを主軸にした、まるで闇の深淵を覗いてしまったかのような独自のサウンドは、他を寄せ付けない圧倒的な存在感がありました。

UKソウルの匂い漂う1st albumの”Blue Lines”はもちろん素晴らしいですが、よりダークさを増した2nd albumの”Protection”に完全に打ちのめされました。

EBTGのTracey Thornをボーカルに迎えたの表題曲
“Protection”は最も美しいブリストルサウンドの一つだし、中でも人生の50曲に必ず入れたい”Karmacoma”は冷たいドラムに冷たいレゲエの裏打ち、”比喩的”なラップが恐怖と文学的美意識をくすぐる、何百回聴いても鳥肌な名曲です。

Massive Attackの中心人物、ハンサムなルックスでジャケットアートも手がける”3D”ことRobert Del Naja。彼が淀んだ目でカメラを睨みながらポエトリーリーディングのように”Karmacoma”とラップをするクールな姿にとても憧れました。
彼の存在そのものが謎に満ちており、比喩的であり、アブストラクト(抽象的)のシンボリズムであるように感じていました。
(近年、彼はグラフィティアーティストのBANKSYなのでは?という噂が飛び交いましたが、双方それを否定しています。BANKSYは著書の中で”3Dはブリストルで有名なグラフィティアーティストだった、みんな彼に憧れていた”という趣旨の事を書いています)


同じくイギリス出身で、僕が最も敬愛する映画監督の1人、Stanley Kubrick。
超無神論者で数学的美的感覚とブラックなユーモアに溢れたこの監督は寡作ながら全て大傑作(個人的に)という、映画史にその名を刻む偉大なる監督です。
キューブリックはそのシニカルな性格とブラックなテーマを取り上げるという作風故に、比喩、暗喩、シンボリズムを多用します。
その中でも特に有名なホラー”シャイニング”は全てが比喩的なシンボリズムで構成された映画だと言っても過言では無いと思っています。

雪山のホテル、双子の少女、カーペットの模様、古い写真、タイプライター、巨大な迷路、血の大洪水、、

呪われたホテルのkarma(業)に囚われた主人公のJack Nicholsonは、孤独と狂気のcoma(昏睡)から抜け出せず、あの有名な例の顔になります。


MASSIVE ATTACKの”karmacoma”のミュージックビデオは”SHINNG”のオマージュに溢れています。

閉ざされた雪山のホテルで次第に狂っていくジャックニコルソンと、冒頭の”karmacoma”の支離滅裂な歌詞がリンクします。

キューブリックはサウンドトラックにクラッシックを多用します。
オリジナルを作曲家に作らせておいて、そのワンマン、傲岸な性格故にやっぱり作品に合わないなとなるとすぐに捨ててしまうなんて事もよくあったみたいです。古いクラッシックが持つ狂気の美というものにどこまでも囚われていたんですね。

キューブリックの新作をMASSIVE ATTACKのスコアで聴いてみたかったな。
でもやっぱり捨てるのかな。

Massive Attackの3Dとキューブリック。

リアリズムをアブストラクトなアートで表現する2者の作品を”PRIMAREのSPA25+Monitor AudioのSilver Series“で再生すれば、迫力の”3D(立体)”サウンドで彼らの作品を堪能できますよ!

DJ MOTIVE
aLFFo Sounds

DJ MOTIVE /deadbundy/P.C.M
DJ/PROCUCER 

アルバム”CURE”がiTUNESのHIPHOPアルバムチャートで最高1位。2008年インディーズHIPHOPベストアルバムHIPHOP, TECHNO, ELECTRONICAなど縦横無尽な作風が特徴。フランスのファッションブロガーGarance Doréが制作したクリスチャン ディオールのweb用ショートムービーにmomigaiの「whales」「senaka」が使用される。
3rd ep 「seaside」はUKのダウンロードサイトHTFRのチルアウトチャート3位。別名義のユニットdeadbundyはcalm、藤原ヒロシなどから支持。ドイツのレーベルHELL YEAHより12’「Lorenz/deadbundy」発売。2020年フリースタイルダンジョンのモンスター裂固とアルバム「omniverse」伝説的なジャズトランペッター近藤等則との共作 “ZEN” 発表。2022年よりテクノアーティストの名義である “P.C.M” 開始REMIX、CM音楽、サウンドトラックなどコラボレーション多数。

instagram
djmotive.deadbundy

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