●インパルス応答補正
スピーカーのインパルス応答は、音の明瞭さ、ディテール、すべての空間的側面に影響します。Dirac Liveは、1 つのポイントだけでなく、リスニングエリア全体のインパルスレスポンスを実際に測定し修正する点で独特です。Dirac Liveは、測定位置全体にわたる一貫した問題に焦点を当て、これらの異常を修正することにより、より迅速な減衰時間を達成することができます。Diracのインパルスレスポンス補正は、個々の声部や楽器の深さ、位置を改善し、音色の違いをより鮮明に再現します。補正は高解像度 FIR フィルターを用いて、最大32チャンネルのルーム補正まで対応しています。
●混合位相補正
スピーカーに搭載されるユニットは個々に位相が異なりますが、多くのルーム補正ソリューションは、室内の音響インパルス応答を物理的に最適化できない最小位相(ミニマムフェイズ)および直線位相(リニアフェイズ)のルーム補正しか行えないものがほとんどです。この方法では、マイクが測定したピンポイントの位置のサウンドしか補正できません。ユーザーが座る位置は毎回微妙に変わり、その微妙な変化は、ユーザーの耳に届く音にとって大きな差となるのです。このため、Dirac Liveは混合位相補正(混相フィルター)を使用しています。いくつかの測定位置(9~最大17 箇所を使用して、音響問題を正確に見つけて修正することができます。この測定データは、時間領域における直接波と初期反射を最適化するために使用されます。複数の測定により、特定のゾーンだけでなく、リスニングルーム全体の音質が向上するのです。
●補正値
ここで測定されたデータはStorm Audio本社へオンラインでリアルタイム送信され、膨大かつ最新の測定データを元に、最適な補正値がユーザーの元に送られます。この事は、常に最新の補正データをユーザーが得られることを意味しています。
Dirac Liveは、Version 2.0以降でインターフェースが大きく変わり、使い勝手が向上。よりシンプルで直感的に操作が可能になりました。
■ Bass Control add-on
マルチチャンネルシステムにはサブウーファーが不可欠ですが、スピーカーとサブウーファーの音波が重なり合うクロスオーバー領域が存在します。これにより、低音が不均一になり、濁った不明瞭なサウンドになってしまうことがあります。従来のDirac Liveでは、この問題は潜在的な問題として解決しきれていませんでした。
最新のISP/ファームウェア4.0rとDirac Live 3.0により実装された、「Bass Control add-on」。 これはDirac Liveの技術を低域コントロールに応用し、サブウーファーはもちろん、全てのスピーカーを含むマルチチャンネルシステムを一つのシステムとして捉え、システムの低音全てをフルコントロールし、バス・レスポンスを最適化する全く新しい発想の追加機能です。システム内のスピーカー・複数のサブウーファー全てを演算しなおし、低音領域におけるディレイ、ゲイン、位相シフトの自動微調整を行います。結果、低音のばらつきの改善、クロスオーバー領域のスムーズな低域再生を可能にし、位相も揃え、システム全体の低域再生能力を向上させます。設置場所の柔軟性も増し、サブウーファーを何台設置しても、部屋/システム全体においてシームレスかつ、最高のインパクトがある低域再生を実現します。
■ Flexible Bass Management ※Optional License Package購入で使用可能
ファームウェア4.3r1のFlexible Bass Managementでは、Expertメニューとして、任意のchから低域を抽出し、最大6つまでBassZoneの設定ができます。設定したBassZoneは、サブウーファーやLargeスピーカーに自由にルーティングし、レベルとディレイのなどの調整が可能です。例えば正面のエリアに配置されたフロントL/C/Rchの低域を抽出したゾーンと、L/R/リア/topエリアのそれぞれのスピーカーの低域を抽出したゾーンと、計5のゾーンを作成。作成したゾーンの低域をそれぞれのエリアに配置した複数のサブウーファーにルーティングして再生することができます。
Bass Control add-onと相まって、途方もなくワイドかつ迫力満点、かつシームレスな低域再生を可能にするサラウンド・システムの構築を可能にしました。複数のサブウーファーや、強力な低域再生能力を持つスピーカーを設置したシステムに最適なソリューションです。
■ Storm XT ※Optional License Package購入で使用可能
現在のイマーシブ・オーディオフォーマットは複数あり、そのフォーマットと推奨スピーカー配置は各々異なるため、ネイティブ再生で特定のコンテンツを再生する際にいくつかのスピーカーが鳴らないことがあります。これは仕方のないことですが、鳴らないスピーカーがあるのはもどかしいことです。
StormAudioはこの課題に取り組みました。既存のアップミックスアルゴリズムと連動して近隣のスピーカーから関連する音声信号を抽出し、無音スピーカーにリダイレクト。Speaker Configurationで構成されたスピーカー全てから音声を再生することを可能にするStormXTプリセットという独自のエンジンを開発しました。StormXTはPC, タブレット、スマートフォンのリモコン画面から簡単にOn/Offできます。
※例えば、Dolby AtmosをNative再生した場合、CFH chやVOG chのセンターラインのスピーカーからは音が出ませんが、StormXTの場合、両chも含め全てのスピーカーから音声を再生できます。
■ Hybrid Analog/Digital Volume
MK1のボリュームは、アナログステージはフルスケールで一定のゲインを維持し、前段のデジタルステージで全てのボリュームコントロールを行っていました。MK2で新採用されたアナログ/デジタルのハイブリッドボリュームは、アナログステージのゲインを可変で最適化するボリュームICを追加。ICは、8chボリュームICを贅沢に4chバランス仕様にして使用しています。
デジタルボリュームとアナログボリュームを巧みに組合せたこの回路は、小音量時のS/Nや歪率が大幅に改善され、サウンドクオリティが大幅に向上しています。
■ Auro-Matic
Auro-3D は、ベルギーの Galaxy Studio で「イマーシブ・サウンド」(=3 次元音響)という用語を定義した Wilfried Van Baelen 氏が開発した技術です。視聴空間に 3つのレイヤーを定義し、もっとも低いレイヤー1 と、その上のレイヤー2 が連続した“垂直ステレオ音場”を作り出すことにより、垂直方向の音再生が過去のフォーマットよりも優れているのが特徴です。そして、同じくらい注目されている技術が、独自のアップミックス技術「Auro-Matic」(オーロマティック)です。
Auro-Matic は、モノラル/ステレオソースを問わず、過去のサラウンドコンテンツからも自動的にイマーシブサラウンド音場を作り出す画期的な技術です。Baelen 氏は「この技術の開発には 10 年を超える歳月を費やした。いかなるコンテンツでも自然なイマーシブサラウンドになる。もうコンテンツの違いによる問題は存在しない」と語っています。 この Auro-Matic 技術は、有名なドイツ・スポーツカーブランドが車内オーディオに採用した事で、日本でも一気に注目される事となりました。Storm Audio はもちろんこの、Auro-Matic を標準装備。ストリーミングや CD、レコード。または古い DVD のサウンドさえ、包み込む最新のイマーシブ・サウンドへ変換され、その場にいるかのような臨場感が味わえるのです。この事が映画再生と同等以上に、ステレオを含む音楽再生で Auro-3D が注目されている理由でもあるのです。
■Storm Remote for Tablet & SmartPhone
シンプルなレイアウトと快適な操作性の専用操作アプリ「Storm Remote」(iOS, Android)にSmartPhone版が登場。タブレット、スマートフォンともに使用できるようになりました。お手持ちの端末にこのアプリをインストールすることで、手元から簡単に各種設定や本体操作が可能となります。